今日の金・貴金属1gあたりのリアルタイム相場情報

今日の金・貴金属1gあたりのリアルタイム相場情報

歴史的高騰が続いています!

金相場速報

2024年11月21日

前日比

+112
14,477 円/g
過去価格と比べて大幅高騰!
ライン
  • 2022年11月21日
    8,628 円/g
  • 2023年11月21日
    10,348 円/g

今日の金・貴金属 買取相場価格

公開(日本時間)
金価格相場

¥14,477/1g
プラチナ価格相場

¥5,195/1g
シルバー価格相場

¥155/1g
パラジウム価格相場

¥5,097/1g

専門家による〈今日の金相場解説〉

更新日時 | 2024年10月31日 09:06

東証一部上場企業(現在は東証スタンダード市場)で10年間サラリーマンを務めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。

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10月30日(水)の金価格は小幅高となり、今週は月曜から3連騰となりました。国内金標準先物(25年10月限)は13,723円で取引を開始した後は、終日13,700円台を中心とする取引が継続。NY時間開始前に年初来高値を更新し、一時的な反落はありながら、最終的に高値に近い13,788円で取引を終えました。

ドル建ての金価格も上昇し、2日続けて年初来高値を更新しています。30日は米長期金利が上昇したものの、為替市場でドル安が進んでおり、ドル建ての金価格が押し上げられる形となりました。

本日31日は米個人消費支出の発表があります。月末で金融市場の動きが荒れる可能性はあるものの、明日11月1日の米雇用統計発表まで金価格の上昇が続くか注目されます。

金 のリアルタイム価格相場 推移グラフ

2024年10月22日 ~ 2024年11月21日
※土日・祝日を除く税込小売価格の推移です。
その他の価格相場グラフはこちらから

金・貴金属価格相場
かんたん計算

貴金属の種類

重さ

  g
相場価格

金相場の最高値更新の理由とは?
変動の仕組みや市場価値について解説

  

金といえば、アクセサリーやジュエリーを想像する人も多いかもしれません。しかし身に着けるものだけではなく、地金やパソコンなどの原材料、金融商品なども金が使われており、すべて金相場によって価格が影響されます。

さまざまな場面で活用されている金ですが、2023年8月28日に金1gあたりの国内小売価格が1万円台の最高値を更新しました。一方で金相場がどのように影響して最高値を更新しているのか、わかりづらい面もあるでしょう。

本記事では、これから金投資を考えている人や、金相場が上昇している理由を知りたい人に向けて、金相場とは何か、変動の仕組みや市場価値などについて解説します。

金相場

金相場はロンドン、ニューヨークをはじめとした世界の金市場で決まる


金相場は毎日変動しており、投資を目的とした「先物市場」、現物の金を買い付ける「現物市場」の2つの市場があります。

世界の金取引はロンドン、ニューヨーク、チューリッヒ、香港の4大市場と呼ばれる4大都市で活発に行われています。この中でとくに大きな影響力を持っているのが、ロンドンとニューヨークです。

ロンドン市場は、現物取引を扱う最大市場であり、ニューヨーク市場が先物取引の活発な市場となります。ロンドンとニューヨークの影響を受けて、世界の金相場が変動しており、東京は4大市場に含まれないものの、金市場において代表的な市場として知られています。

 

金相場を確認する方法


金相場の先物市場と現物市場は、確認する方法が異なります。先物市場の場合、東京商品取引所の金取引の価格となり、現物市場は、例えば田中貴金属工業株式会社が金価格を発表しています。金価格は現物の金を扱っているものの、海外輸入も行うため、海外の金相場や為替市場の影響を受けて日本の金相場が決まります。

なお金相場の公表はどの会社でも行えるわけではありません。金取引するには、偽造の防止や金の純度が重要となるため取引できる会社が限られています。日本で扱っているのは、田中貴金属工業や、三菱マテリアルなどであり、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)に認定を受けている企業となります。LBMAとは、ロンドンの金を始めとする貴金属市場で流通する貴金属の規格を定めており、金などを溶解する公認業者として登録する団体です。認定された企業の地金は、世界標準として流通できるようになります。

しかし金相場は、会社によって価格がわずかに異なっており、それぞれの会社が金の取引価格を決めているのも事実です。

 

金相場に影響を与える商品


金相場で決まった価格が、アクセサリーやジュエリーなどの金製品や、パソコンなどの原材料に影響するため、金相場が上昇すれば、金製品の商品価格や原材料費が上昇します。

金相場の変動によって影響を与える商品は大きく以下の3つがあります。

1. 金を活用した宝飾品
宝飾品は、世界における金の消費量のうち約70%が使われています。主に指輪やブレスレット、ピアス、イヤリング、ネックレス、時計などです。宝飾品として活用される歴史は古く、紀元前3000年頃の古代シュメール文明が高度な加工技術を用いた王の装身具があります。

2. 金を活用した工業用品
工業用品は、宝飾品の次に多く使われています。主にパソコンやスマートフォンなどの電子基板、電子戦を想定して製造された航空機などです。金の性質として高い導電性があるため、電子部品の電導体やコネクタ部分の表面に活用する金メッキなどがあります。

3. 金を活用した医療用品
金は医療用品としても使われており、主に体外検査キットに使われる発色剤や、関節リウマチの治療に使われる金製剤、歯の被せものとしての金歯があります。金歯が使われる理由は、耐腐食性が高いため、酸化することなく変形や変色も少ないためです。

以上のようにさまざまな用途で活用されており、金相場が変動すればそれぞれ影響が出てくることになります。

 

金相場のチャートの特徴


金相場のチャートがどのように変動しているのか、その特徴について紹介します。
金相場

金の過去最高価格は1gあたり10,101円


日本の金価格の最高値は、2023年8月28日の10,101円です。世界では、2020年の新型コロナウイルス感染症による影響によって2020年8月に1オンスあたり2,073.47ドルという当時の最高値を更新し、その後2022年2月24日のロシアによるウクライナへの侵攻などの影響でその時々で高値を更新していました。

最高値になった理由は、紛争が未だに終わる気配がないことによる国際情勢の先行き不安や、アメリカ経済のリセッション(景気後退)の恐れによって、実物資産である金に流れたといえるでしょう。

金とドルは密接な関係をしているため、アメリカ経済が不安定になると金価格が高騰しています。

1979年2月に、アメリカが支援して樹立したパーレビ朝がイラン革命によって打倒され、11月にはイラン駐在アメリカ大使館において人質事件が起こり、アメリカとイランが敵対関係に陥りました。その後イラクの奇襲によってイランとの交戦が始まり、戦争が本格化します。1988年まで続くイラン・イラク戦争の始まりです。中東情勢が混迷を極める中、1980年1月に金価格が6,945円という当時にとっての最高値をつけることもありました。

国際情勢の先行き不安とアメリカ経済の影響から、金への需要が高まり、金相場の最高価格を更新することに繋がりました。


 

金の過去最低価格は1gあたり865円


日本の金価格の最安値は、1998年の865円です。原因は、1983年に石油輸出国機構(OPEC)が実施した原油価格の大幅な値下げの影響によるものといえます。一般的に金価格と原油価格は同じ方向に動くことが多いためです。

1985年に日本のバブル経済の発端ともいえるプラザ合意によって、アメリカで起きていたドル高是正のために中央銀行による協調介入を行ってドル安へと向かいました。日本ではドル安によって円高不況が発生するものの、日本銀行による低金利政策から、金融機関や企業が不動産や株式に投資するようになりました。不動産や株式への投資は、金への投資をさらに控えることに繋がり、値下げの勢いは止まりませんでした。

1991年に大蔵省銀行局(当時)から不動産融資総量規制の通達や、日本銀行が金融引き締めしたことでバブル経済が崩壊します。バブル崩壊後から景気が低迷し、1997年には日本の4大証券会社といわれていた山一證券株式会社の自主廃業の決定や、さらに4月から始まった消費税5%への引き上げによって景気の低迷が深刻化しました。

バブル崩壊、そして山一證券株式会社の自主廃業によって起きた景気の低迷による影響が、金価格においても影響し、1998年に最低価格を記録することになりました。

プラチナ相場

金とプラチナの関係


金とプラチナといえば、金相場よりもプラチナ相場の方が高い状態が続いていました。しかし、現在は金相場の方が高い逆転現象が起きています。金とプラチナは個々に変動要因があり、金は個人や中央銀行の保有、金製品としての需要、プラチナはプラチナ製品の他に、工業用としての需要が半数以上を占めています。

工業用として使われる主なものに自動車があり、自動車産業が不調になるとプラチナの需要に影響します。プラチナは金よりも希少価値が高いものの、需要として見れば、金の方がさまざまな用途に活用されている点などから逆転現象が起きてしまいました。

金相場

金と米ドルの関係


米ドルは世界の基軸通貨であり、世界経済としても米ドルに依存しています。ドル安になることで、投資対象がその他の通貨や株式などに移り、その中の1つに金が含まれます。金は米ドルを使って取引されているため、一般的に米ドルが安くなれば金の価値が高まり、米ドルが高くなることで金の価値が安くなります。

アメリカ経済が好調であれば、金が売られてドルが買われ、低調であればドルが売られて金が買われます。つまり金と米ドルは密接に連動しているといえるでしょう。

 

金相場が変動する要因


金相場はさまざまな情勢によって影響されるため、その変動要因について紹介します。
金相場

需要と供給のバランス


金は、買いたい人と売りたい人のバランスが市場において影響します。つまり需要が高まれば、供給量が減るため、金の価格は上昇し、需要が減り供給過剰になれば、金の価格は下落します。

人類史の中で採掘され続けてきた金の総量は、20万トンに届くといわれています。金の鉱山生産量は、2016年以降では毎年3,500トン前後と安定的に供給されているものの、埋蔵量には限りがあるため、この先金の供給量を少なくしなければならない事態が出てくるでしょう。さらに需要が減ることは少なく、今後も需要増となれば、金がなくなる可能性があります。新たな金鉱山の発見や採掘技術の向上がなければ、市場価格や現在の製品などさまざまな面で影響が出てしまいます。

しかし金製品や、原材料として使った金を再利用できれば、需要を満たすことは難しいにしても毎年の供給量に補填する形で利用は可能でしょう。

 

国際情勢


国際情勢が不安定化すると、先行き不透明感によって、金相場は上がりやすく、安定化に向かうことで金相場が下がることがあります。

2001年9月11日にイスラム過激派のテロ組織「アルカーイダ」による大規模なテロ事件「世界同時多発テロ事件」がアメリカで起きました。起きた後の金相場は上昇しています。当時、ワールドトレードセンタービルやその周辺のインフラの破壊によって、ニューヨーク市の経済に打撃を与え、ウォール街も一時閉鎖される事態となり、世界市場にも大きな影響を与えました。アメリカ経済の先行き不安から、株価の下落やドル安へと進行し、逆に金相場は下落することなく上昇します。

日本でも1998年に最安値を付けて以降、世界同時多発テロ事件の後、金価格が上昇しました。「有事の金」と呼ばれており、国際情勢に先行き不透明感がある時に、金相場は上昇しやすくなります。

金相場が上昇する理由は、金を買うことで自分の資産を守ろうとするためです。金は実物資産となるため、仮に価格が安くなろうとも金としての価値が消えるわけではありません。しかし通貨や株式などの投資商品は、国や企業が潰れてしまうことで、無価値になるリスクがあります。

つまり国際情勢が不安定になれば、金相場が上昇し、安定に向かうと通貨や株式に投資されるため、金相場が下落する傾向になっています。

2001年の世界同時多発テロ事件やすでにご紹介しているイラン革命、イラン・イラク戦争の他、1979年から起こったソ連によるアフガニスタン侵攻、1982年のイギリスとアルゼンチンの間で起きたフォークランド紛争など、国際情勢の不安定要因がありました。しかし金相場は、「有事の金」にふさわしく上昇していました。

金相場

世界的金融不安


世界的な金融不安も金相場を上昇させる要因です。

2007年末頃からサブプライム住宅ローンの問題がアメリカを中心に顕在化しました。サブプライム住宅ローンは、アメリカのサブプライム層への住宅購入に向けて、購入予定の住宅に抵当権を設定した譲渡抵当付き債権(モーゲージローン)といいます。サブプライム層は、個人の債務返済能力に基づき信用力が高い層であるプライム層に対して信用力が低いと判断されている層のことです。

問題となったのは、金融機関が所有しているサブプライム住宅ローンをファニー・メイやフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫が大量に購入して複数のサブプライム住宅ローンの債権を証券化し、不動産担保証券(MBS)として市場に販売しました。

住宅価格が上昇することを前提として不動産担保証券(MBS)を販売していましたが、2005年から2006年をピークにアメリカの住宅バブルが弾けます。住宅価格が緩やかに下落したことで、住宅ローンが払えなくなり、ローン金額よりも住宅価値が低い状況が生まれ、債務不履行や抵当物件の差し押さえが増加しました。その現象が連鎖的に起きたことで、世界的な経済危機に陥ります。

しかしサブプライム住宅ローンが発生している間、金相場は上昇しています。

その後、「100年に一度」といわれる金融危機が訪れます。アメリカの住宅バブルの崩壊をきっかけに起きたサブプライム住宅ローン問題は、債券を持っている金融機関に波及します。住宅価格の下落によってサブプライム住宅ローンを大量に購入していたファニー・メイやフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫が危機的状況に陥り、アメリカ政府より公的資金をつぎ込む救済政策が取られます。

またアメリカ5大投資銀行グループの1つであるリーマンブラザーズは、多くのサブプライム住宅ローンの証券化を推し進めて上り詰めた証券会社であったため、損失を多く抱えました。リーマンブラザーズは「大きすぎて潰せない」金融機関として、ファニー・メイなどと同様に公的資金がつぎ込まれる可能性があったものの、政府は救済せず2008年9月15日に経営破綻しました。リーマンブラザーズの破綻をきっかけに世界的な金融危機へと連鎖することになります。

世界的金融危機に発展したリーマンショックは、ドルの下落や株価の大暴落が起こります。金融危機によって通貨や株式などの価値が下落したことで、相対的に実物資産である金の価格は上昇することになります。大幅な信用収縮から資産を守るためには、金などの実物資産の保有が最善と考えられるためです。

 

株式市場の停滞


株式市場が停滞すれば、金を始めとした実物資産の相場が上昇します。

2008年に起きたリーマンショックを受けて、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリアの主要先進国7カ国(G7)の中央銀行は、それぞれ政策金利を引き下げる協調利下げを行います。しかし日本銀行が協調利下げに加わらなかったことで、円高が進み、輸出関連企業に大打撃を受け、株価も大暴落する事態になりました。円高株安を受けて日本の経済は、デフレ不況から回復しかけたものの、景気が後退したことで株価が下がり、逆に実物資産である金の需要が高まったことで、金相場は上昇しています。

金相場

為替相場の影響


日本の地金業者は海外から金を輸入しているため、為替相場の影響を受けてしまいます。金の注文を日本で受けて、海外の業者から受けた注文分を購入します。

例えば、1ドル=100円の場合、1万円で100ドルと交換し、その100ドルで1kgの金と交換するとした場合、1万円で1kgの金と交換できたことになります。円高となって、1ドル=80円になると、8,000円で1kgの金と交換でき、円安になって1ドル=120円になると、1万2,000円で1kgの金と交換できるようになるため、円安よりも円高の方が金を多く交換できます。しかし円高になることで相対的に金の価値は安くなってしまいます。

 

金利による影響


金は金利が付くわけではなく、金融機関による利子や株式のような配当などがない資産です。つまり金利が高くなるインフレ傾向の時では金の需要は下がり、金利が低くなると金の需要は上がります。

金利が高い時は、銀行預金や定期預金、貯蓄型保険など、金利で利益が出せる商品を購入するようになるため、利子や配当が出ない金の需要は下がってしまいます。一方で、国際情勢や経済の不安定化、景気の低迷によって、金利が下がったり利子や配当が出なかったりすることや、何よりも先行き不透明感によって資産防衛の必要があるため金が購入されるようになります。

 

消費の増大


金の消費はさまざまな場面で利用されており、今後も増大する可能性があります。

パソコンやスマートフォンを始めとした電子機器は、電子回路を構築する電子基板の表面処理において、電気を通しやすくする金メッキを活用しています。また金を活用した触媒もあり、悪臭除去触媒として実用化されているなど化学製品にも使われます。金は電気自動車の電池に必要な材料にもなっているため、普及化に伴ってさらなる利用が進むでしょう。

金の利用は、科学技術の発展とともに消費が増大されてきたため、現在の発展途上国の消費が増大すれば、金の需要はさらに高まります。金の需要が高まれば、金相場も上昇するでしょう。

 

投資ブーム


金の投資ブームが来ると、現物取引よりも先物取引の需要が高まるため金相場が上昇します。1つの金融商品に投資するだけではなく、株式や投資信託、国債、金などに分散投資してリスク軽減させるために購入することがあります。

また実物資産としての金だけではなく、金ETFといった金融商品も登場しています。金ETFは金先物取引などの専門的な知識が必要な投資と異なり、少額投資が可能で誰でも投資がしやすい特徴があります。

このように金に投資する流れや投資しやすい環境ができることで、金相場が上昇する可能性も出てくるでしょう。

 

レバレッジを活用した取引


金の取引には先物取引があります。先物市場では、金の現物取引ではなく信用取引となるため、レバレッジを活用して実体のない金として投資が可能です。

レバレッジは「てこの原理」のことで、少額の資金を担保として、何十倍といった金額で取引ができるため、大きなリターンを期待できる反面大きなリスクを伴う仕組みとなります。

例えば、5万円の資金で50万円分の先物取引した場合、レバレッジは10倍です。つまり先物市場全体で見たときに、レバレッジが活用されるため、現物以上の価格で取引される信用取引が行われます。ちなみに、5万円の資金にレバレッジを活用して50万円分の先物取引を行って、損失が発生する状態で保有していた場合、追証(おいしょう)といって、必要となる担保が少なくなった場合に追加の資金を入金する必要があります。

先物市場では、投資銀行やヘッジファンドなどの大口の金融機関に左右されることがあり、金が上昇しているところを突然大量に投げ売りされれば、現物の金相場も暴落するなどの影響を受けます。先物市場の信用取引の売買によって、現物の金相場にも影響を与えてしまうなど、密接に関係性があるといえるでしょう。

 

歴史的に金は資産価値が高い


金は歴史的に資産価値が高く、日本や世界の歴史にも登場しています。

例えば、日本の歴史でいえば、奈良時代に聖武天皇の発願において始まった東大寺の大仏は、金メッキを施していたり、佐渡を江戸幕府の直轄領として金銀が発掘されたりしています。世界では、古代ギリシアやローマにおいて金貨として鋳造されたことや、近代においてカリフォルニアで金が発見されたため、採掘のためのさまざまな技術が開発されました。

このように、人類史の中で金の資産価値は高く、さまざまなものを製造するために活用されました。

金相場

金相場最高値更新の理由


現在、金相場が高騰しているため、その理由について紹介します。

 

ロシアのウクライナへの侵攻


2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を始めたことで、紛争へと発展しました。世界経済にも影響が出ており、穀物やエネルギー価格の上昇が起こっています。国際情勢に大きな変化が生じると、通貨や株式の資産価値が減少する、これまでの紛争などと同じような状況です。

ロシア通貨のルーブルは侵攻開始によって、乱高下することになり、株価も急落してまた戻るような動きをしました。しかし、金相場は、通貨や株式と異なる値動きで安定して上昇しています。

今後、ロシアとウクライナの紛争の結果によって変動する可能性があるなど、不透明感は大きい状況です。

 

円安


円安は、金相場を高騰させます。2022年のドル円相場では、20年ぶりの円安といわれ、2022年10月において約32年ぶりといわれる150円台になりました。日本が円安になっている理由は、ロシアのウクライナへの侵攻を受けて、エネルギーなどの原材料価格が高騰したことで、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)を始めとした主要先進国の金融引き締めに対して日本銀行が協調利上げを取らなかったためです。

世界金融危機などが発生した場合、金融引き締めする場合、主要先進国が足並みを揃える必要があります。しかし日本は金融引き締めしなかったことで、円安になりました。

足並みを揃えなかった理由は、日本が2013年4月以降、2%の物価安定目標を定めており、安倍政権下では達成できず、その後新型コロナウイルス感染症の影響から景気が低迷する状況になり、まだその状況から抜け切れていない状態です。もし景気が低迷する状況で、アメリカを始めとする各国に歩調を合わせて金融引き締めすれば、さらなる景気の低迷を招くことになります。アメリカやヨーロッパと経済や物価状況が大きく異なることを理由として、協調利上げを行いませんでした。

また日本銀行では、2023年4月8日に2期10年務めた黒田東彦日銀総裁が任期満了を迎えて、新総裁として植田和男氏が就任しました。就任後の金融政策はイールドカーブ・コントロール(YCC)という長短金利操作によって行う量的・質的金融緩和の上限を引き上げるという見方がされていたものの、前の政策を踏襲する方向となっています。

円安の進行は、金の価格を高騰させる要因となりました。金価格はドルによって影響されるため、日本で金取引する場合、必ずドルを円に換えなければなりません。しかし、円安ドル高の場合、金は高くなってしまいます。

今後も継続的に続いていくというよりも、ロシアとウクライナ情勢の変化などから、一度反転して円高ドル安方向に向かうなど為替相場も変化があるかもしれません。

円安から円高に切り替わると、国内に輸入する分の金の価格は下がるため、不透明感が高いもののドル円の動向には注視するようにしましょう。

 

金相場の長期見通し


今後の金相場の長期見通しを紹介します。

 

金相場が上がる場合


すでに2023年8月28日には、1gあたり10,101円と過去最高価格となっており、さらに上昇する可能性も高まっています。

2022年の上昇は円安主導によるもので、アメリカ経済のリセッション(景気後退)の可能性もまだ消えてはいません。アメリカ経済のインフレを抑えるために連邦準備理事会(FRB)が利上げを行って金融引き締めしており、それが当面維持されるでしょう。

またロシアによるウクライナへの侵攻によって、国際情勢の先行き不透明感や、パソコンやスマートフォンなどの部品として利用されるなどの需要増もあります。とくに電子製品は減ることはなく今後も新しい形で使われることになるため、金の消費量は増え続けるでしょう。

エネルギーや原材料価格の高騰によってコストプッシュインフレによる影響が少なからず出ている中で、日本はイールドカーブ・コントロール(YCC)を行っています。世界の主要国が金融引き締めしている中、金融緩和を行っているため、エネルギーや原材料価格の高騰を除いた物価上昇が見込まれなければ、金相場が継続的に上昇する可能性はあります。

 

金相場が下がる場合


世界的には、新型コロナウイルス感染症の影響から経済不安が解消されつつあります。またロシアとウクライナの紛争が落ち着いて停戦協定を結ぶことができれば、国際情勢が安定化へ向かいます。

日本国内では、景気が完全に上昇局面になることによって日銀の現在の2%の物価安定目標を変更して出口戦略に向かう可能性もあります。国際情勢の安定化や、日本国内経済が上昇局面を迎えることによって金などの実物資産よりも不動産や株式に投資されることになるため、金相場が下がる可能性も考えられるでしょう。

 

まとめ


金相場は、金の現物や先物市場といったすべての値段を左右しています。そのため金を原材料として活用する場合や、資産とする場合のそれぞれに価値があります。市場での金価格は、需要と供給のバランスによって決まるため、需要が高まり供給不足になれば希少価値が高まり、その分金相場は上昇します。実際にパソコンやスマートフォンといった電子部品として活用されており、今後も増える傾向になることを考えれば、より一層金の価格は高まるといえるでしょう。

また発展途上国にパソコンやスマートフォンなどの電子機器が浸透することで、消費は増大し、科学技術が発展するため、さらなる金相場の上昇や、金が足りなくなるといった問題が出る可能性もあります。

資産としての金は、金融緩和や金融引き締め、為替相場によって通貨価値が変化すると、金の価格が変化します。とくに金は米ドルによって決定されるため、円高ドル安になることで価値が下がるものの、大量に購入でき、円安ドル高になることで価値が上昇するものの購入量は減ってしまいます。

金は、「有事の金」と呼ばれるように、経済や国際情勢、金融危機といったときに需要が高まります。世界的に不安定な時期に上昇する理由は、通貨や株式などの資産を持つよりも、実物資産を持つ方が安全と考えるためです。通貨や株式は、国の危機が生じたり、企業が倒産したりした場合、価値がなくなってしまいます。しかし、金は現物として持っていれば、金としての価値は変わらないため、投資家は金に投資するようになります。

金の先物投資や金ETFなどの金融商品があり、レバレッジを活用した信用取引によって、金の現物市場よりも大きな資金が流れることになります。投資会社やヘッジファンドなどの投資によって、金相場の動きが複雑化してしまうこともあります。

今後の金相場は、金の需要増や供給不足から長期的に見れば上昇していくことが考えられます。しかし世界的にはウクライナ情勢が安定することで、金相場が下落する可能性があるでしょう。

また日本においては、日本銀行による2%の物価安定目標を継続することで景気が完全に上昇局面になることで、現在のイールド・カーブコントロール(YCC)を活用した金融緩和から金融引き締めに転じれば、金相場に変化が生じるといえます。

これから、金相場を見て売買する場合、ウクライナ情勢などの国際情勢や、アメリカ経済、日本銀行などの経済動向を注視して、自分にとって良いタイミングで購入するようにしましょう。

 

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