意外と知られていない、高級時計の使用法落とし穴とは

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ロレックス、オメガなど、高級腕時計を購入する際、多くのケースではスタッフさんから時計の使い方の説明をされると思います。しかし、購入時の高揚感でその説明をしっかり聞けていなかったり、聞いていても時間が経つにつれその記憶が曖昧になってしまうこともあると思います。
高級時計の場合、使い方のちょっとした誤りで故障させてしまうと、フォローするのに高額な費用がかかる場合もあり、そうしたトラブルを避けるためにも、基本的な「やってはいけないこと」を日頃から意識しておく必要があります。今回は「知っているつもり」の扱い方についていくつかポイントを挙げてみました。

目次

1.置き場所に注意!「磁気帯び」と呼ばれる状態になってしまうといろいろ厄介です。

「衝撃を与えたり、水没させてはならない」というのは腕時計では常識で、それだけにほとんどの人が注意を払っていることなのですが、意外と知らないうちになってしまうのが「磁気帯び」と呼ばれる状態です。磁気帯びというのは、他の磁気を持った物の影響で、時計の精度が狂ってしまうなどの現象が起きてしまうことをいいます。
たとえばスマホやパソコンなど、記憶機能を持った製品には磁気が使われていますし、さらにスマホケースやバッグなどのマグネット部分など、家電は思わぬところから磁気を発しているものです。(また電子機器のスピーカー部分などは特に注意といわれています)したがってその近くに時計を置いてしまうと、精度の異常などを引き起こすことが多いのです。

これについてできることはただ一つで、「ともかくPCの上やすぐそばなどに時計を置かない、置いても短時間に留める」ということに尽きます。目安としてどうしても置く場合でも5cm以上は離すようにすることが大切と言えます。どの電化製品が磁気を帯びているのはかなり細かいところなのですが、電話機やテレビ、ドライヤーやカミソリなど、意外な生活用品が弱いながらも磁気を使っているので注意したいところです。

また「すでに磁気帯びになってしまっているかどうか」はかなり気になるところですよね!どうしても目に見えない狂いなので確かめておきたいところですが、一番わかりやすい判別方向としては方位磁石(コンパス)の上に時計を近づけ、かざすことです。針がほとんど動かないならいいのですが、大きく動いたり回転しているようでしたら時計がすでに磁気を帯びている可能性は大です。「目に見えない狂いや不具合」がすでに影響している可能性は高いので、時計屋さんに修理に出すことをお勧めします。(軽度であれば短期間で直ります)

2.「防水時計」でも水のトラブルに注意。

時計の不具合や修理のご相談をしていると、必ずといっていいほど出てくるのが「水のトラブル」によるものです。
実は「防水」というのは「お湯にも耐性がある」という意味ではありません。水とお湯は全くの別物であると考えておきましょう。お湯は熱を帯びており、時計は熱には弱いものです。また熱以上に恐ろしいのが水蒸気で、お湯につけることによって内側に結露が発生してしまい重大なトラブルになることがあります。「この時計は防水だから」と、お風呂やシャワーの時に装着して入ってしまうと大変なことになる場合があるので注意したいところです。

またお湯でなく通常の水であってもリューズの調整後の締め込みや、エスケープバルブの締め込みなど、基本動作を忘れた状態で水につけてしまうと一気に浸水してしまいます。あくまで「防水機能はイレギュラーに対応しているもの」と捉えて、日常生活の中ではできるだけ水につけないのがトラブル防止にも大切と言えそうですね。

3.カレンダー操作の禁止時間を厳守しないと危険

機械式時計の場合は、カレンダー操作について禁止時間帯と呼ばれる時間帯があります。午後8時から午前4時までの8時間は、ムーブメント内の歯車が日付表示を変える状態に入っているため、その時間内に竜頭を回して日時を変更してしまうと、歯車が欠けるなどのトラブルで大きな故障に繋がってしまいます。
1日のうち8時間というのは3分の1にあたりますし、意外と長いのでわかってはいてもついつい忘れて操作してしまった…というお客様も多いですね。(この時間帯は・・メーカーによって異なる場合があり短くなる場合もあるので、説明書を参考にしてください。ただおおむねこの8時間で収まります)

構造的なことを言うと、日付の数字が書いてある面はドーナツ型のプレート状になっており、等間隔で突起がついています。もう一つ、それを動かす役割の「日送り車」という歯車があります。この2つがかみ合うことで日付を変更しているのです。その「日送り車」の突起したひっかけるツメ部分が、夜中の0時に日付ディスク内周の突起に引っかかり、日付を動かす仕組みとなっています。
このツメは日送り車の方が24時間で1周する歯車についているので、時間をかけて日付ディスクのツメに引っかかるように近づいていき、日付を変えたあとはまたゆっくりと離れていきます。「禁止時間帯」というのはまさにこの時間帯で、この時間に日付を変更しようとすると、「早送り車」という別の第3の歯車を使用して日付プレートを動かすことになるので、「日送り車」と「早送り車」という2つの歯車が同時に日付プレートに干渉している形となり、不具合を引き起こしてしまいやすいというものです。最悪はツメが折れてしまい、修理に長い時間と多額の費用が掛かってしまうことになるので絶対に禁止時間帯には日付変更をしないようにしたいものです。

※最近ではブライトリングのCal.01やロレックスのCal.3255ムーブメントを搭載するモデルなど、「いつでも日付変更が可能なモデル」もかなり発売されてきているので、買う時にそうした機能を意識するか、そうしたものに買い替えるのもいいかもしれません!

4.時計合わせの際、針を逆走させる

時刻を合わせる際に「時間をさかのぼって戻したい」ことはままありますし、安い時計の場合はついつい「少しくらい逆走しても…」と思って追走してしまうことも多いものです(笑)。
しかし、高級時計に限らず時計の場合は時刻を逆回転(反時計回り)に動かしてしまうと部品の劣化や欠けを起こしてしまう可能性があります。特に高級時計の場合は「逆回転の衝撃で摩耗が早くなりやすい」「狂ってしまう」というリスクが大きいのでお勧めできません。できるだけ避けたいものです。※ただ、短針を回して日付変更をするタイプの時計の場合は問題の無いものもあります。

いかがでしたか?
他にも衝撃は与えない、強くふりすぎないなど「目に見えて分かりやい」タブーというのはもちろんたくさん存在しますが、今回は「分かっていてもついやってしまいがち」「意外と知られていない」タブーに絞ってお伝えしました。高級時計の場合はちょっとしたトラブルで大きな時間的・金銭的コストにつながります。末永く使うためにも、是非意識してみたいものです!

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この記事を書いた人

安井 理のアバター 安井 理 リユースライター

慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。

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