ブランド品のカビ対策とは

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ルイヴィトンなどブランド品の買い取りをしていると、よく「部分的にカビが生えてしまっているのですが買い取ってもらえますか?」というお問い合わせを受けることがあります。
これに対しては、できる限り前向きにするよう対応しています。
しかし当然ケースバイケースなので、実際に様子を見させていただいてひどい場合はやはり買い取り不可…といった判断をすることも中にはあります。

程度に関わらずカビが付いてしまったブランド品を色々と見ていると使い込んでぼろぼろになっているものは意外と少ないものです。
逆にあまり使用していないルイヴィトンなど「使用感も少ないのにもったいない」…と思うケースも少なくありません。

ルイヴィトンなどに代表される革製品の場合、日本の気候・環境では油断をするとカビが生えてしまう危険もあり、独自の対策も必要になってきます。
今回はブランドバッグなど革製品に発生するカビの原因や、予防法などについてお伝えしていきます。

目次

カビが発生するまで

どんなブランド品・部位にカビが生えやすいのか?

まず、カビが取り付くブランド品は、革製品が圧倒的に多いことが知られています。
(ごくたまに布・繊維製品表面にカビが取り付いてしまったものを見ることがありますが、極端に環境の悪い場所に置くなど、ありえないメンテナンスをしてしまわない限り中々ありません。)
また同じ革製品表面でも「カビに強い革」「カビに弱い革」があることは知られています。
俗にいうヌメ革(ルイヴィトンなどでも取っ手部分や底面に使われている所)部分はカビに弱いのでよくカビが発生します。
また革製品に使われている金属のボタン部分も意外とカビが取り付いてしまいがちなので、注意したいものです。

カビの原因となるものとは?

ブランド品のカビを予防するには、「何が原因で発生するのか」知っておく必要がありますよね。
よく知られていることですが、カビは「菌」が繁殖をしていくことで発生していきます。
そしてその繁殖の温床となるのが「湿度」(=湿気)ということになるので、「菌(汚れ)」「湿気」の2つに意識を配る必要があります。

2つのうち菌については正直肉眼で見えるものではないですし、気を付けているつもりでもすべてを予防できないのでやはり「湿気」の方にフォーカスした対策をしていくのがお勧めです。
そう考えると我々の住んでいる日本の気候、特に梅雨時など雨のシーズンについては特に注意が必要で、多くのカビがこの時期に発生し、大繁殖していると考えて慎重な対応をしたいものです。

自分の経験上「もっともカビが生えてしまったものを多く見かけた」ブランドはルイヴィトンなのですが(単に流通量が多いせいでもあります)、ルイヴィトンはもともとフランス発祥のブランドで、日本の降水量や湿度の高さを前提に設計されているわけではありません。
年間降水量を比較しても、
日本は1668mm(2017年)に対して、
フランスは867mmと半分程度しか雨は降りません。
(ちなみに世界平均は1200mm程度なので、いかに日本で雨が多いかわかります)

ルイヴィトンは特に取っ手や底の部分にヌメ革と言われる、手触りは柔らかいのですがカビに弱いタイプの素材を使用しているのも、そうした気候の違いによるものだと思います。
逆に国産ブランドのものでカビが取り付いたものをほとんど見ないのは、そうした環境の違いをあらかじめ計算に入れて設計されているからかもしれませんね。

カビの前兆と言える匂いに注意

少し引いてしまうような例えかもしれませんが・・・
皆さんは洗濯機で選択をした後うっかりそのまま取り出さず、時間が経った後に取り出してみると妙なにおいが付いている、という経験をしたことがありませんか?
私の知人などは「シャツが納豆臭くなっている」という表現をしたことがありますが、あの匂いの原因こそがカビなのです。

他にも梅雨時などはいろいろなところで「かび臭い」匂いを体験することがありますが、カビの場合匂いであるうちはまだ対処可能で、目に見える形で発生してしまった段階ではかなり繁殖が進行している…ということが言えます。

ブランド品の査定でも経験豊富な担当者さんだと、ただ目視でカビの有無を確認するだけでなく、鼻を近づけて軽く匂いを嗅ぐ人も中にはいます。
文字通り「五感で査定する(さすがに味覚は使いませんが…)」のに近いものがありますがヌメ革などにとりつくカビは独特のにおいがするため、初期の段階でもわかる場合があると言います。
(場合によってはかび臭い匂いがするというだけでマイナス査定になってしまうこともあります)
気になる方は普段からご自身でブランド品の取っ手や底の部分の匂いを軽く嗅いでおくと、何か変化が起きた時に気づけるかもしれませんね。

カビを生やさないための3つの予防策

保管場所・保管方法がポイントに

ルイヴィトンなどのブランドバッグを毎日欠かさず身に着けているという人は少数派だと思います。
数日、長い人では数か月単位で使わず保管をしているわけですが、時間としては保管をしている時間の方が圧倒的に長くなるので、我々が考えている以上に「どこで、どう保管するか」ということは大切です。

湿気を意識したブランド品保管の結論は、
〇湿気をため込まない場所に保管する
〇汚れが付きにくいよう配慮した場所に保管する
ことの2つです。

特に前者についてが、人によって大きな差が付き、またカビ発生の有無を左右してきます。
例えばブランドバッグを例にとると、長期保管の場合は型崩れや紫外線による影響などを防ぐため箱に入れたり、暗所で保管することが多いです。
しかし完全に「密閉」してしまうと湿気の温床となり、数か月後に取り出したらカビ臭くなっていた…ということにもなりかねません。

矛盾するようですが一言で言うと、「汚れや紫外線対策でちゃんと包む、守る、ただし湿気はダメ」ということが心得になるでしょう。

例えばブランドバッグを箱に入れて保管する場合は完全にふたをしてしまいこむのではなくふた部分を少し開けておく、といったことがベストです。
また定期的に箱や袋から出して、陰干しをすることで湿気を定期的に取り除き軽く殺菌する…ということが効果的です。
これらを抑えておけばカビが発生するリスクはかなり低くなると思われます。

使用後のメンテナンスで差が付く

カビ対策について言うと、バッグなどのブランド品を使用した後正しい保管方法をしていればそれで完璧…という訳でもありません。
カビの原因となるものは湿気(水分)だけでなく元となる「菌」もポイントとなります。

バッグを身に着けて外出して帰宅した後は、当然目に見えないものも含めて汚れが付いていることが考えられます。
その「汚れ」に菌が付着していて、湿気であとから大繁殖してくる…というのがカビ繁殖のパターンです。
「保管をする前に、カビのもととなる菌(汚れ)をふき取ってきれいにしてしまう」
ということが大切です。

たとえ目に見えて汚れが付いていなくとも、
「乾いた布などで乾拭きをしたうえで保管する」
というだけで数年後のコンディションは大きな違いが出てくると思います。

全体を乾拭きするのは時間がかかりますが、カビの発生しやすい部分に集中して乾拭きをするのも効果的です。
「取っ手部分」「底の部分」などは汚れが取り付きやすく、またカビに弱いヌメ革が使用されているケースが多いのでここだけでもしておくとかなり安心ですし、また金属の鋲やボタン部分なども指などから汚れが付着してそのままカビの原因となる場合がありますので拭いておきたいところです。

革製品は内側のカビ対策も大切

ルイヴィトンなどの革製品ブランドバッグの場合、カビの発生場所としてかなり多いのが「内側」です。
やはり湿気がたまりやすいということと、汚れがついてもふき取りにくいということでカビ繁殖の条件がそろっているからでしょう。

バッグの内側は外側と比べて汚れはつきにくいのですが、一度何かの理由で入れたものなどから汚れが付いてしまった場合それを除去しにくいというデメリットがあります。
ですから内側については汚れではなく「湿気」にフォーカスして除去するようにした方が良いです。

具体的には「保管前に紙などを詰めて、湿気を吸収できるようにしてしまう」というのがよく知られている方法ですし、効果的だと思います。
ただ長期保管をする場合紙側の汚れや色素がバッグに移ってしまうので新聞紙などではなく、白紙を使用するようにしましょう。
詰め物をすることは湿気対策だけではなく型崩れを防止し状態ランクを維持することにもつながりますので、徹底していきたいところですよね。

ブランド品のメンテナンスについては、100点満点を目指そうとすると時間も含めてコストがかなり掛かりますし、「大変だなあ…」と正直感じるものです。
ただ、何も100点を目指す必要はありませんし、80点程度のメンテナンスや保管時の配慮をしていればそれだけでもだいぶ違います。

上記のようなメンテナンスは、ちょっとした時間や費用が掛かることもあります。
しかし買った時の価格や価値に比べれば、またカビという決定的なダメージを防げるのであればやはりかなりコスパは良いと思いますので、まずできることから始めてみてはいかがでしょうか。

読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

安井 理のアバター 安井 理 リユースライター

慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。

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