ダイヤモンドの買い取りを左右する「鑑定書」について

  • 店舗一覧から探す
  • 現在地から探す

コロナ禍もあり、金の相場が引き続き高騰していますね。
手持ちの貴金属製品を売りたい方も多いと思いますが、最も身近な貴金属製品といえば指輪などを初めとしたジュエリーで、その多くにダイヤモンドが付いていると思います。

しかしダイヤモンドなどは「1グラムいくら」という価値が明快な金などと違い価値・価格はピンキリなもの。
だからこそ金と違い査定する会社・担当者で大きく判断が分かれやすい性格を持っています。
そのダイヤモンドの最大価値を保証するために存在するのが「鑑定書」で、価値の高いダイヤほど買った時についてくることも多く、売却するときも効果を発揮すると言われています。
しかし、鑑定書(グリーティング・レポート)はどれほどの意味を持つのか?
今回は鑑定書の意味や活用法などについてお伝えしていきます。

目次

鑑定書はダイヤモンドの価格に影響するのか

鑑定書の有無で査定価格が分かれることが多い

まず、一番よくお客様から聞かれることとして、
「鑑定書のある・なしでどのくらいダイヤの買取価格は変わりますか?」
という質問があります。

これについてローカルな店舗買取をしてもらった経験や印象だけをお答えすると
「例えばダイヤの指輪の場合、ダイヤの価値は2-3割程度とある程度の違いである場合もあれば、3倍以上違う場合もある」
というところだと思います。
※もちろんこれはダイヤだけの評価なので、地金(金やプラチナなど)の価値は鑑定書の有無には左右されません。 したがってジュエリー全体の価格はそれほどまでは違わないと感じると思います。

なぜ、鑑定書の有無で買い取り価格が変わるのか

もちろんダイヤそのものの取引価格については鑑定書のある・なしで品質が左右されるわけでもないので、「同じダイヤ」であれば最終的に取引される価値は変わりません。
しかし、特に実店舗の買取現場窓口でダイヤの「鑑定書に左右されない不変の価値」をどれだけ確実に自信を持って査定できるか…ということになってくると話が違ってきます。

例えばもともとの価値が100のダイヤがあるとしましょう。
「100あるよ」という鑑定書が付いていれば誰が査定する場合でも「100の価値」をもとにして査定価格を出してくれます。
しかし鑑定書がない場合、ダイヤをルーペでのぞき込むだけで「色・純度・カット・カラット」の4つのランクを正確に把握できる担当者はかなり少ないと思います。
※鑑定書を作成している担当者は数千・数万というダイヤを見続けて自信を持って鑑定できますが、そうした技能を持つ担当者はローカルでは大変稀といわざるを得ないのです。

したがって店舗買取の担当者としては鑑定書がないと、
「この場で価値を決めなければいけないとなると…大体このくらいだと思うけれど失敗したくない。70にしよう…(いや50が良いかな…)」
といった具合に慎重(弱気)の査定をしてしまう確率が高まります。
これについてはだれもがダイヤモンドを鑑定書なしでその場で精密査定できず、高く買い過ぎてしまうことで会社に損害を出したくない以上、ある程度は仕方のないことだと思います。

「鑑定書」と「鑑別書」の違いとは?

ジュエリーの買い取りをしていると、たまに鑑定書ではなく「鑑別書」を持ってこられるお客様がいます。
鑑定書が付いていれば高くなる…ということで鑑別書も同じようなものでは…?と期待されてくるケースもあるのですが、正直申し上げるとこれは「まったくの別物」になります。

鑑定書は上記の通り「ダイヤモンドの質を保証する」保証書で、だからこそ高品質ダイヤとしての価値を裏付け、買取価格を上げてくれるものです。
しかし「鑑別書」は文字通り「別」のものと区別するための保証書です。

平たく言えば
「ルビーでもエメラルドではない、確かにダイヤです」
「偽物ではありません。本物のダイヤです」
「人工ではありません。天然ダイヤです」
といったことを証明する目的で作成されます。
(鑑別書では「天然ダイヤと認む」といった表記が多くの場合されますが、まさに文言通りです)

現在はローカルな買取店でもダイヤモンドテスターなどかなり精度の高いダイヤの真贋判定ができます。
そのため鑑別書を持参してもそれ自体で買い取り価格がアップする…といったことはまずない、と思っておきましょう。

鑑定書の意味が大きくなるのはどういう場合?

先ほど挙げたように、店頭買取における鑑定書の有無で差が付きやすいケース(数倍になる)と、それほど差が付きづらいケース(数割程度)があります。
それを分ける最大の理由の一つがダイヤ自体の大きさ(カラット数)です。
比較的(カラット数が)大きいダイヤについては鑑定グレードが1段階違うだけで飛躍的に価格が上がるのですが、小さいダイヤについてはグレードに対してもともとそこまでの違いは出づらく、鑑定書があったとしても金額としてそれほどの差が生まれないケースも多くなります。

また言うまでもなく、ダイヤの品質が高い(4Cといわれる格付け要素が高ランク)場合はそれを証明する鑑定書があるか、無いかで大きな違いが出やすくなります。
よくある「婚約指輪」など比較的高めのグレードのダイヤが使われている場合は買う際もかなりの価格がしますし、そうしたものについて鑑定書を失くしてしまった…という場合はかなり買い取り価格に差がついてしまう心配があるということになりそうです。

鑑定書の正しい読み方とは

4Cと呼ばれる4つの格付け要素

手元にあるダイヤが相対的にどれほどの質といえるのか・・・? ということを見分けるには、鑑定書にある4C(Carat,Color,Clarity,Cut)それぞれのランクを見ていくことになります。 具体的には、

Carat(カラット)…俗にいうカラット(大きさ)のこと。1カラット=0.2gという分量が定められているので、カラット数に比例して大きいダイヤということになります。 この数字が2倍なら価値が2倍…というわけでもなく、多くの場合は加速度的に価値が高くなります。

Color(カラー)…文字通りダイヤの「色」です。 価値が高いものほど無色、低ければ黄色がかったカラーになり、単純なアルファベットで表記されます。 もっともよいものがD,続いてE,Fと続きZまであるので、アルファベットが若いほど価値があると覚えておきたいものです。

Clarity(クラリティ)…透明度と訳されますが、「どれだけ、細かい傷や不純物が入っていないか」ということが評価基準です。最もいいものはFL,IFと表記されますがこれはとても稀で、それに続いてVVS1,2, VS1,2, S1,2…と続いていきます。

Cut(カット)…技術的にどれだけカットの角度が整っているかということで、人為的な加工技術のランキングと言ってもいいでしょう。 入ってきた光がどう反射しどの角度で出ていくか…といったところまで確認し判定されます。 最も良いものはExcellent,つづいてVery good, Good, Fairと続くのでそのまま意訳すると価値が分かると思います。

これ以外にも蛍光性(フローレンス)などが記載される場合もありますが、概ねこの4Cが判明すると、「市場でどのくらいの価格で流通しているか」はおよそ分かってきます。
そこから買い取り店の判断(いくらで買い取り価格提示するかといったこと)が加わってくるという訳です。

鑑定書の発行元も要チェック

ダイヤモンドの鑑定基準は国や機関による違いがなく文字通り「世界標準」なのですが、それでも「どこが出している鑑定書なのか?」といった発行元も、信頼の証となる重要なポイントです。

最も多くの鑑定書を発行している有力な機関は3つあり、
1.GIA…米国宝石学会(世界的な宝石鑑定機関)
2.CGL…中央宝石研究所(日本)
3.AGT…ジェムラボラトリー(カラーダイヤモンドに特に強い)
これらは業界で「A鑑」とも称される信用できる最大手機関です。
※それに次いでB鑑、C鑑と呼ばれる機関のグループがあり、大手や高いダイヤほどA鑑のものを使用する傾向が高いと言えます。

A鑑以外から出ている鑑定書にマイナスがあるという訳ではもちろんないのですが、こうした機関から出ている鑑定書についてはさらに信頼度が高い…と言えるでしょう。

鑑定書を失くしてしまったら

再発行を希望する場合の手続きとコスト

高いお金を出して買った時には付いていた鑑定書が無くなってしまったという場合、売って換金する際は困ってしまいますよね。
すぐ頭に浮かぶこととして「再発行してもらえないだろうか?」ということがありますが、これは可能なのでしょうか?
答えはイエスでもあり厳密に言うとノーでもあります。

鑑定書を「紛失」してしまった場合再発行は手続き上可能ですが「同一性」(間違いなく前回の鑑定書の対象ダイヤなのか)を証明することがとても難しいです。
そこで多くの場合は「再鑑定」の上で(広い意味での)再発行をしてもらう…といった手順が用いられています。

この手続きは購入したジュエリーショップでも、また鑑定をしている機関でも進めることができますが、コストとしてはダイヤの大きさに応じて異なるので、数千円程度から大きいものでは1万円を超えるケースもあります。
またある程度の時間がかかることもさることながら、再鑑定の際は改めてダイヤを(指輪などから)取り外して鑑定するので傷がついてしまうというリスクも無いわけではありません。
そこはあらかじめ了解しておきましょう。

こうしたコストやリスクを考えていくと、大きめで価値の高いダイヤほど鑑定書を付けた方が高く買取ってもらえる確率は上がりますし、逆にそれほどの大きさ・価値が見込めないなら無理をして鑑定書を再発行すると期待したほど価値が上がらずむしろ損になる…といった可能性もあります。
そのあたりの見極め判断が大切だと思います。

鑑定書なしで高く買ってもらうには

どうしても鑑定書がなく、また再発行せずにダイヤモンド製品を高く買取ってもらうにはどうしたら良いでしょうか?
実は原理原則論を言えば、最初にお伝えしたように「鑑定書そのものに価値はなく、あるからと言って価値自体が上がるわけではない。あくまでマイナス評価されないための証明書」ということなので、本当にダイヤの価値(4Cなど)をその場で正確に認めてもらえるのであれば極端な鑑定書は不要…ということも言えるわけです!
そう考えると、鑑定書なしでもできるいくつかの方法は考えられます。

預かり査定をOKし、預けてでもできるだけ高価買取をしてもらう

どうしてもリモートではなく(店舗での)対面での買い取り希望ということであれば「どうしてもその場で価格を出してもらう」ことにこだわらず、「一度預かって本部などで査定をしてもらう」ということを前向きに検討した方が良いと思います。
多くの場合は専門の鑑定機関またはダイヤを専門に近い形で取り扱う業者さんに委託して価格を出してもらっており、その場合はかなり正確にダイヤのグレードを把握できる担当者が見ていると考えられます。
少なくとも1日数件の来客しかない実店舗の買取店よりは正確・強気な査定が期待できます。

店頭での買い取りより、宅配買い取りなどの方が有利?

これも上記と同じ理由です。
高価なダイヤ製品をリモート査定・買い取りしてもらうのは不安もあるかもしれませんが、全国対応をしている宅配買取の場合は短期間に多くのダイヤを見ており、またグレードについても自信を持って判断する担当者がいる可能性が高いです。
その意味でも配送料や保証などお客の側に負担やリスクが少ないのであれば、積極的にリモート買い取りを利用した方が良いかもしれません。

複数店舗での見積もりをする

これも原則論なのですが、「なぜ、鑑定書がない場合安く買われてしまう不安があるか」というと、担当するバイヤーに自信がなければないほど、慎重で買い取り価格を抑えてきてしまう」という点に尽きます。
しかしどこにそうした熟練バイヤーがいるかはもちろんわかりません。
上記のように預かり査定で専門機関に査定を投げてもらうか、宅配買い取りで取扱量の多いところを信用するか、といった方法で可能性は高まりますが、極論を言えば多くの店舗に見てもらうことも少しでも熟練バイヤーにあたる確率を上げるいい方法だと思います。

いかがでしたか?
鑑定書は一種のプレミアのような形で付加価値が付く…と考える人も少なくないのですが、決してそうではなくあくまで「価値を証明し、マイナスに見積もられない」ための守りのアイテムに過ぎません。
またダイヤモンドは世界一硬い物質ということもあり、容易に状態が変わらないため鑑定書の有無にかかわらずそれと同様の鑑定ができる人がいれば、同じ価値と認めてくれることでしょう。
鑑定書を失くしてしまっても「時間をかけて査定してもらう」ことをいとわず、そうした「目利きできる人」をしっかり探し当てれば決して損はしないはずなので決して落ち込むことなどはないと思います!

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

  • 店舗一覧から探す
  • 現在地から探す
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

安井 理のアバター 安井 理 リユースライター

慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。

目次