コロナ禍などもあり昨年度から急速に増えてきているものの一つが「着物の買い取り」です。
この場合の着物というのは振袖や訪問着、浴衣などの和服を指すのですが、時代とともに着用の機会が減っていることも理由の一つです。
また最近では「少ない機会のために高いお金を出して買うまではしなくていい…」という人も増え、レンタルサービスなども充実してきています。
こうしたことから
売る側は「無理をして持っている必要はないので手放そう」
買う側も「買うにしてもわざわざ新品にこだわることはない」
ということで、着物の売却・買取・そして再販売が盛り上がっているのだと思います。
ジュエルカフェでも毎日全店合わせると3ケタ~多い日には4ケタの取り扱いがある「着物買取」ですが、貴金属やブランド品などと比べるとかさばる面もあり、「どういうアプローチで売っていくのか?」戸惑ってしまう方も多いようです。
今回は着物買取について、そのポイントと人によってどのような売り方がベストなのか…ということをお伝えしていきます。
着物が高く売れるポイントとは?
産地・素材・作家の3つで基準値が決まる
着物を売るうえでまず大元の価値を決めるのが「産地・素材・作家」の三大要素です。
これが良ければ大元の売値(新品での購入価格)も高くなりますし、当然中古で売る場合の取引金額も連動して高くなるわけですね。
産地については伝統工芸品としての格付けのようなもので、例えば「三大友禅」で知られる、京友禅、東京友禅、加賀友禅などはかなりメジャーで価値があります。
また大島紬や結城紬など紬系も高価買取されやすい産地と言えます。
着物における産地はいわば「銘柄」として格付け可能な意味合いを持っています。
また素材については何といっても一番人気は「正絹」と言われる絹100%を使用されたものです。
次いで麻や木綿なども使用されているものは多いのですが、格においては正絹にかなり劣ってしまうのは仕方ありません。(麻の伝統工芸品である上布など、一部かなりの高値が付くものもあります)
そして最近ではウールやポリエステルなどを使用したものも出回っていますが、こちらはかなり新しければそれなりに評価されるものもありますが、そうでない場合はあまり評価されない素材です。
またいわゆる「作家着物」(作家物)と言われる、織りや染めなどの専門技術を持った個人の制作物は当然値段も高く、「誰の作品か」ということで良い意味での格付けも可能です。
特に最高峰である「人間国宝」の人の作品についてはかなり高くなります。
付属品やサイズも価格を左右することが多い
また買った時についてくる付属品が付いているかどうか、なども着物買取で必ず査定され、参考にされる項目になります。 特に着物における付属品は「出自」を示して格付けに直結するものも多いため、なくさないようにしたいものです。
「証紙」…着物の産地や素材の種類を証明する用紙です。
※ダイヤモンドにおける鑑定書に近い…と考えてもいいと思います。
「落款」(落成款式)…作家着物の場合完成品に作者や工房、そして日付などを書きつけることがあり、それがあると価値を証明できるということになります。
※必ずしも「付属品」ではないのですが広い意味で有無を確認するため大切なものです
「たとう紙」(畳紙)…聞きなれない言葉ですが、着物を包んでおくための紙です。 品質の保存と、きちんと保管をしてきたということを示せるうえ、多くの場合販売元などの情報も入っているので信用にもつながりやすいです。
「帯や帯締めなど」…その着物専用にあつらえた小物がある場合は、それもセットにして売ると高く評価してもらいやすいです。(帯以外に長襦袢などもあります)
またサイズについては、どちらかというと大きめの方が小さいより高値が付きやすい傾向があるようです。
「大は小を兼ねる」とも言いますが、大きいサイズであれば後から小さくサイズ直しができます。
その逆はできないため、大きめの方が需要は高いとみなされ高くなる場合があるわけです。状態の良しあしは、どこで見られるのか?
状態の良しあしは、どこで見られるのか?
着物は貴金属や時計などと違い有機物なので、使用や時間経過に伴って汚れ・黄ばみ・カビなど影響を受けて色々な変化が起こりがちです。
当然新品に近い方が高く評価されるのですが、そうでない物であっても丁寧に使用されていたり、管理する場所や虫干しなどのメンテナンスがしっかりとしていれば、それに応じて好意的な評価をしてもらえます。
その意味でも使用回数が少ない場合も長い間タンスにしまって安心せず定期的にチェックするなどした方が良いでしょう。
査定をする際はシミの有無やその他の汚れ、ほつれや変色(焼け)などがチェック対象となりますが、一度そうしたものが付いてしまうと専門家ではないので対応が困難です。
従ってそうしたものを予め生じないような使用・保管を意識したいものです。
着物を「店頭買取」で売るメリットとは
店頭買取は文字通り買取店に直接持ち込んで売ることです。
昔は着物を売るというと裏通りなどの「質屋」が定番だったのですが、最近では商店街やショッピングモールにも「買取専門店」「リサイクル店」がどんどん増えてきており、そちらに持って行くイメージを持つ人も多いと思います。
一時期はコロナなどの影響で休業や短縮営業をしている所も多かったのですが、今では多くの店が元気に営業しているので店頭への持ち込みもしやすくなりました。
店頭買取はどのような人に向いているのか
店頭買取に向いている人とは
〇買取店が近くにあるか、自動車などで着物を大量に運べる人、持ち運びの重さや距離を気にせず済む人
これが一番に挙げられます。 また、
〇リモート査定・買い取りに抵抗のある人
も挙げられます。 着物は買った時には高価なのですが、売る時にどこまで価値を見てくれるかというと貴金属やブランドなどと比べてあいまいな部分があり、不安もある人もいるようです。
「やはり相手の顔を見られる売り方がしたい」というのも、当然の考えだと思います。
これ以外にも
〇ともかく急いで換金したい方
などは店頭に持ち込む方がメリットありと言えます。
店頭買取で注意すべきポイント
店頭買取において一番注意したいのは、リモート買い取りと比べるとお店により評価(価格)の差が大きく付きやすい…ということだと思います。
着物の性質上、「重さで明確な素材価値を出せる貴金属」や、「真贋判定や査定が高度にマニュアル化されているブランド品」などと違い、品質や使用感、痛みなどの確認には独特のものがあります。
持ち込まれる着物の材料が正絹以外に麻、木綿、ポリエステルなど多岐にわたり、それぞれの性質を理解した質の判断も重要になるからです。
最近は実店舗で着物買取に対応するところも増えてきましたが、特に安め~中程度の価格帯の着物については、査定担当者の経験のある、無しでかなり判断が変わりやすいと言えます。
その意味でも持ち込むのなら、「しっかり自信を持ってみてくれそうかどうか?」という選択眼は大切です。
またケースによっては「預かり査定」に前向きな方であれば、いい結果が出るケースが多いようです。
実店舗タイプの買取店、着物については「数日預かって査定させてもらえませんか?」と言ってくるケースがありますが、これは現時点で「ぎりぎりどこまで高く買い取れるのか」ということを判断しきれない場合に起こります。
※どうしても着物は流通量の割に種類が多いので仕方ない面もあります
逆に言うと預かっている間に本部などで精度の高い査定をしてくれるので、2-3日時間がかかってもできる限りの価値を付けたい場合は、預かりに前向きなスタンスで持ち込むことをお勧めします。
着物を「出張買取」で売るメリットとは
出張買取はどのような人に向いているのか
着物を出張買取で売る人は、他のジャンル(貴金属・ブランド品など)と比べると比較的多い傾向があります。
というのも着物の場合は
「古い家の場合、かなりの量の着物があることが多い」
「店まで持ち運ぶのが大変」
「どれにどのくらいの価値があるのか、調べたり比べたりするのが比較的難しい」
といったことが多いからだと言えます。
こうした場合は間違いなく出張買取に向いていると言えるでしょう。
また、「売れるかどうかわからない物」が混じっている場合なども出張してもらえばその場で見分けてくれて、場合によっては売るものと一緒に持って行ってくれたり処分してくれたりする場合もあります。
こうした「処分でもいいので、ついでに持って行ってほしい」ものがある場合なども出張に来てもらう意味は大きいと言えますよね。
そして着物の場合は引っ越しするので処分するケースも多く、そうした場合も「ほかにいらないものとまとめて…」ということで出張買取を依頼する人が多いです。
出張買取で注意すべきポイント
出張買取を検討する場合は、まず「今売りたいもののために、この距離を来てもらえるのか?」というハードルを乗り越える必要があります。
買取店の人もガソリン代・そしてその時間の人件費もかけて出張してくれるわけですから、ある程度それに見合った買い取りがないと断られてしまう可能性が高まるわけです。
ある程度の価値・数があることを確認したうえで「来てもらえるか相談に乗ってもらう」ことになるでしょう。
また出張買取の場合、中には「引っ越すので買取価格にはあまりこだわらずに、ともかく処分したい(持って行ってほしい)」というお客さんもいます。
それは良いのですが中には買取店の方でも、着物についてはそれほど丁寧に見ずにひどい場合は二束三文にまとめ買いをして持って行こうとする場合がゼロではありません。
出張先でネット等も活用し、一つ一つ丁寧に着物を査定するだけの体制、または知識があるのであればそうした心配はないのですが、「ともかく不要なものを処分しますよ!」というノリの出張買取業者は、着物の場合あまり相性が良くないかもしれません。
着物を「宅配買取」で売るメリットとは
宅配買取とは、自宅から買い取り業者さんに宅配便で着物を送り、査定してもらって納得してもらえれば現金を振り込んでもらい、納得できなければ返品してもらうというスタイルになります。
多くの場合お客様の送料は負担がないので(送る場合)、コロナ禍もあり昨年からかなり伸びている買い取りスタイルと言えます。
宅配買取はどのような人に向いているのか
宅配買い取りの良いところは大きく2つあります。
「家から出ずに済む」ということ、それに「自分のタイミングで発想や連絡などのアクションができること」です。
〇「コロナ感染が心配」という人
〇育児や病気など諸事情があり、時間をかけた外出が難しい人
〇昼間は忙しくて、実店舗に着物を持って行く時間がない人
〇お店に持って行く量が多すぎたり、手段(自動車など)がない人
〇実店舗からは遠い人
などは特に宅配買い取りを利用するとメリットがあると言えます。
また宅配買い取りをしている業者さんの場合、特に都会・都心で全国対応しているメジャーな業者さんであれば着物についての知識も豊富なことが多いです。
実店舗や出張の場合はお店によって「査定者の商品知識にムラがあり、正当に評価してもらえず安くなる」運要素も大きめなのですが、全国対応型の大手の場合その危険は少なめと言えるでしょう。
「時間はかかってもいいので、ともかく最大価値で評価してほしい」というニーズが強い人には、宅配買い取りもお勧めと言えます!
宅配買取で注意すべきポイント
宅配買取の場合は、店舗買取以上に「事前に確認しておきたいこと」が多めと言えます。
まず注意したいこととしては「送料負担」についてです。
査定時に送る送料は無料(業者負担)ということで敷居が低いのですが、万一査定後に「価格に納得ではない」という場合の「返送料」がどうなっているかは業者さんによってまちまちです。
「往復送料無料」のところが理想なのですが業者側からしてもそれをしてしまうと中にはトラブルや嫌がらせに利用される可能性もあり、良心的な業者さんでも踏み切れていないことも多いです。
いずれにせよ着物を査定してもらう側としては、
「買い取りが成立ではなかった場合にどうなるのか」
ということは明確にイメージできるようにして、納得の上で利用することが大切です。
他にも事前に確認しておきたいこととしては、
〇査定や送金に、それぞれどのくらいの日数を要するのか
〇送金はどのような方法でされるのか
〇そもそも自分の送る着物の素材(麻・木綿・ポリエチレンなど)の買い取りに対応し、評価してくれるのか
〇事前に査定をする方法があるのか(LINE査定、ビデオ査定など)
などいくつかあります。
逆にこうした事前確認の手間を惜しまない人には、かなり適した買い取り方法と言えるかもしれません。
着物を売る場合、それぞれの環境・事情に適した買い取り方法がありますが、ジュエルカフェでは「店頭・宅配・出張」すべて受付をしております。
査定にあたっても最大限前向きな評価ができるよう努めておりますので、是非お気軽にご利用くださいませ。