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着物を高価買取してもらうための正しい保管方法とは?

着物を高価買取してもらうための正しい保管方法とは?

査定を通じて、数多くの着物を目にする機会があるのですが、長く見ていますと「ブランドなど、もともとの価値は高いのに保管に失敗したがゆえに価値が下がってしまった」着物が少なくありません。
お値段が下がってしまうということと理由についてお伝えすると、売りに来られたご本人も痛恨…というか「もっと注意して保管していれば…」と後悔されることも実際多いです。

同じブランドでも貴金属製品であれば、重さにより大体の価値は確定していますし状態による差は少ないです。
また他のブランド品(バッグや時計)であれば、流通量が多く状態によって大体の相場が分かりやすいと言えます。
しかしブランド着物の場合はそのどちらでもなく、「思っていたのと価値がかなり違う…(落ちてしまった!)」ということも起きやすいと言えます。
そこで今回は、「価値が下がらないようにするにはどうしたらいいのか?」という観点から、より良い高級着物の保管方法についてお伝えしていきます。

買取価格が下がってしまう、保管の失敗例とは

湿気とカビの2つが大敵

着物を構成する生地の「質」を劣化させるものを2つ挙げるとすれば、湿気とカビの2つと言えます。
このうちカビは湿気のある箇所に多く発生するので、突き詰めていくと「どう湿気を管理するのか?」ということにポイントは集約されてきます。

カビがなぜ問題なのかは言うまでもありませんが、着物のような繊維に一度カビが発生してしまうと大変落ちにくいですし、高いコストをかけてクリーニングをしても完全に元の状態(見た目)に戻すのは困難です。
また見た目に問題が無くなっても「なんとなくかび臭い」という状態であれば容易に再発しますし、価格査定においても大きく差がついてしまうものです。
基本的に「正絹」などの高級素材であってもカビの存在や、カビの跡などが認められた場合はかなり大きく価値が下がってしまうので何としても発生を阻止したいところですね。

また湿気については、もちろんこうした「カビ」を呼び込んでしまうのも問題なのですが、繊維・特に絹についてはやはり有機物ですので、カビが発生しないとしても大きく劣化しやすくなってしまいます。
特にわずかな汚れやシミなどが存在している場合、湿気によってそれらがより深刻な「マイナス」になってしまうことも多いので、「湿気はすべての元凶」と考えて徹底的に管理した方が良いでしょう。

型崩れをしてしまうと価値が下がる

また、保管する着物生地の「質」ではなく「形」に注目するのであれば、やはり「型崩れ」は売却時の査定で不利になることが多いです。
型崩れとは着物をたんすなどに収納する際、たたみ方がおかしかったり、重ねすぎたりなどで不自然に力がかかってしまい取り出したときにゆがみや折れが生じていることです。

一度型崩れを起こすとそれを元通りにするのは困難ですし、査定時には見た目の劣化だけでなく「使用感がある」のと同じように見なされてしまうので高級な生地ほど価格に影響を及ぼしてしまいます。
あとでお伝えしますが、型崩れは基本的に収納する際のやり方で発生し、逆にそれで防げますので是非とも防止したいところですね!

シワが付くと「使用感」と見なされる

型崩れ同様「シワ」が付いてしまった状態の着物を査定に出すと、多くの場合マイナスに働いてしまいます。
理由は言うまでもなく見た目として「使用感」が分かりやすく出てしまうからです。
本当に使用を重ねてついてしまったシワならまだいいのですが、新しい着物でもたたんで収納する際に雑に扱ってしまいシワがついてしまったり、より頑固なシワになってしまう場合もあり、そうしたことは大変もったいないと言えます…。
シワについても型崩れと同様、収納する際の配慮で大きく軽減することができるので心がけたいものです。

高価買取につながる保管方法とは

収納するものと、場所はどこが良いのか

収納する際の容器(家具)については、やはり「桐タンス」が定番というか、高く評価されていますね!
理由としては桐自体が湿度調整機能を持ち、高温多湿の日本では湿気を吸収してくれることがよく知られています。
またそれ以外に桐自体の匂いを虫が嫌うので着物に虫が付きにくい…などの理由があるようです。

桐についてはタンスだけでなく衣装ケースなどもあるのですが、やはりどちらもそれなりの値段がします。
価格的に手が出しにくい場合はもちろん、市販されているプラスチック製やスチール製の衣装箱などでも大丈夫です。
しかしその場合は素材として「通気性・調湿性」に大きく劣ってしまうので、その分保管中のメンテナンスは入念に必要で、後で述べる虫干しや陰干し、たとう紙などの交換は回数を増やした方が良いでしょう。

また保管場所としては直射日光が当たり高温になる部屋(南向き・西向きなど)は避けた方が良いと言われています。
そしてきりに限らずタンス類に収納する場合は上段の方が、湿気がたまりにくくカビなども発生しにくいので特に大切にしたい着物は上段に入れることをお勧めします!

収納前に「これ」をすると差が出る

着物は一度収納してしまうと、長い間同じ姿勢で保管されてしまいます。
収納直前にどのような処置をし、どのような収納をしたかで保管後の状態は決定づけられるとも言えます。
雑にならないよう丁寧にたたんで保管するのは当然ですが、それ以外に収納・保管前にできることの「理想」としては、以下のことがあります。

〇シミや汚れなどが無いかチェックし、あればできるだけ取り除く…

濡れタオルで軽くたたいておくとかなり取り除けます。 見逃したまま保管に入ると黄ばみや拡大を招いたりするので保管前はよく見ておきましょう。

〇陰干しをしてから保管するのがベスト…

使用後すぐにたたんでタンスで保管してしまうと、水分を含んでいてそれが劣化や虫食いなどにつながることが多いです。 半日~一日でいいので、専用ハンガーで「日光が当たらず、かつ換気の良い」環境で陰干ししてからたたむとシワも付きにくくなります。

〇たとう紙には必ず包みたい…

たとう紙は、着物保管の際に包む専用の紙です。 数百円から購入できるたとう紙は湿気を吸収することで着物を守り、カビなどの発生を防止できるうえ着物同士の摩擦も防ぐので必須ともいえるアイテムです。

〇無理をして詰め込まず、余裕をもって収納…

桐タンスなど、着物のベスト収納アイテムはコストもかかります。
限られたスペースについつい詰め込んでしまう人もいますが、無理をすると当然シワのもとになるうえ、重ねすぎることで「型崩れ」が高確率で起こります。 「詰め込み」「重ねすぎ」は絶対に避けたいものです。

こんな「保管中のひと工夫」が状態を大きく左右

着物には祝い事など、限られた状況で着るものも少なくありません。
数か月~数年単位で保管をしている方も当然多いのですが、久しぶりに取り出して着ようとしたら(もしくは売ろうとしたら)びっくり、がっかり…といったことを避けるにはどうしたら良いのでしょうか。
前述したように「保管する直前」の処置はもちろん大切なのですが、保管が長期に及ぶ場合は定期的に取り出して、メンテナンスすることをお勧めします。

〇たとう紙は定期的に取り換える

折りたたんだ着物を包んでおく「たとう紙」は、天然の除湿剤と言えます。
湿気を吸収することで着物を湿気自体と、それにより発生するカビなどから守ってくれる存在です。
しかしずっと取り換えずにいるとたとう紙も劣化したり、それ以上湿気を吸収できなくなるものです。
目安としてはたとう紙自体がふにゃふにゃと湿気を含んだ状態になりかけていたり、変色を起こしている時なのですが、そうでなくても後述する陰干しのタイミングで定期的に取り換えるのがベストと言えます。

〇定期的な陰干しをする

着物を定期的に陰干しすることは昔から有効な保管方法として知られてきました。
時期により「虫干し」「陰干し」「土用干し」「寒干し」など呼び方は異なりますが、基本的に「湿気の少ない季節に」「風通しがよく」「直射日光の当たらないところで」和装ハンガーなどにかけて半日~一日干します。
特に年単位の保管が予想される場合には年2-3回はこうしたタイミングを設けるのが良いでしょう。

付属品の保管もお忘れなく

「着物を売る際、できるだけ高く売る」という視点で見ていくと、着物の状態だけではなく付属品の有無・状態などもかなり大切です。
このうち最も重要なものは「証紙」であると言えます。
これは購入の際付いてくるもので着物の出自と本物であることを証明する、いわばダイヤモンドで言えば「鑑定書」のような役割をするので、失くしてしまうとかなり大変です。
他に考慮されやすいものとしては着物の作者による「落款」があり、これも高級着物であれば重視されます。

他にも帯や草履・帯締めや腰ひもその他小物など、購入した際についていた小物についてはなくしたり劣化したりすると査定時に当然影響するので、付いてきたものはしっかり管理したいものです。
これらも基本的に湿気と紫外線から守って保管するのがベストです。

いかがでしたか?
こうして並べてみると「めったに使わない着物のためにこれだけのエネルギー(費用)を使って保管し、状態を維持するのは大変だな…」と感じた人も多いのではないでしょうか。
正直私もそう思います(笑)。

しかし考えてみると、高級着物の場合購入時は数十万円したものも少なくないはずです。
それを使いこなすためにその数%を「保管」「状態維持」に投資するというのは決して異常なことではありませんし、むしろしっかり「手をかけ、お金もかける」ことで価値相応に長く使うことができ、また売る時にも価値が保たれると言えるのです。

今回お伝えしたことはあくまでも「理想」なのですべてを実現するのは難しいかもしれませんが、できる限り実行できることはして将来不要になった際に少しでも高価買取されるようにできるといいですね!

読んでいただき、ありがとうございました。

監修
監修:安井 理
慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。
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