2023年の金相場はどうなる? 下落のリスクと相場変動の要因とは?

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21世紀に入るとともに、リサイクルの新業態すら生み出してしまったのが「金」製品の高騰です。ご存じの方も多いですが2001年には金相場はグラム当たり1000円をちょっと超える程度…という驚きの価格でした。(このころ買っておいた方がよかったという人もいるかもしれません(笑))

それがこの20年で、上昇と下落を繰り返しながらもその単価は9倍を超え、2023年8月現在では一時、店頭小売価格が9700円を超える事態となりました。その一方で金製品とは別の話ですが、仮想通貨(ビットコインなど)の相場も上下動がかなり熱いですよね。2021年11月には史上最高値がつきましたが、2022年は仮想通貨にとって冬の時代となりました。そして2023年に入り、米株価市場の回復により、価格は少しづつ上昇しています。

「相場というものはわからない・・・金相場も注意が必要だ。いつ落ちるかわからない」という思いを新たにされた方も多いはずです。お手持ちの金製品についても「そろそろ売りかな・・・?」と考えている方もいれば「もう売ってしまった。待てばよかったかな・・・?」とお考えの方も多いと思います。

2023年の相場ですが、果たしてどうなるのでしょうか。下落のリスクや今後の売り時などを考えてみました。

目次

2023年(8月)現在の金相場はどうなっているのか

2023年(8月)現在、金相場は「円建て」では史上最高値を更新しています。(田中貴金属工業の店頭販売価格ベースで9850円)

実は金相場については2019年ごろまでは一時停滞していた面があり、2013年ごろから2019年ごろまでの間というのは1グラム当たり4000円~5000円の間を行ったり来たりしているという状況でした。急激な変化が起きたのが2020年で、コロナショックの広がりと時を同じくして急騰した金相場は2020年8月に7000円越えとなり、現在まで金相場の上昇は続いています。最も分かりやすいグラフなどは田中貴金属工業などのサイトで参照すると視覚で分かるのですが、一言でいえば「2020年以来急騰しているし、その中でも(8月は)短期的にも上昇の中にある」といえるわけです。

金製品を売るのであれば今がチャンス、ということも言えますし同時に「どこまで上がるのか? いつ下がるのか、下がるとすれば何が起きた時なのか?」ということを2023年の情勢を見て仮説を立てておいた方が良いと思います。

2023年現在、何が金相場を押し上げている?

ここで大切なのは、「何が金相場を押し上げているのか」ということをざっくりとらえておくことです。

中期的(ここ10年程度)の上昇要因については、

〇スマホや精密機械など、工業製品に使われる需要が増えた。

〇為替相場・先物相場などのシステムが完成し、金の価値がそれにリンクして世界的に動くようになり投資の対象となった。

ということが手堅い上昇要因といえますし、これは中々崩れない安定要因だと思います。(これについて細かいことはこの記事では割愛します)

今回は特にこれ以外の短期的なものについて「なぜ上がっているのか」という理由をいくつか、整理しておくといいと思います。(逆に言うとこれが失われたときに急落のリスクがあると言えます)

それについていうと「コロナショック」「ウクライナ危機」「円安の影響」の3つが金相場に大きく絡んでいる3大要因ではないでしょうか。

コロナショック・・・

2020年の金相場急騰のタイミングはコロナ禍の広がりと完全に時期がかぶっています。やはり「有事の金」といわれるように社会不安が広がると金相場は上がる傾向がある…というのは本当のところでしょう。

ロックダウンなどで会社の株価もどうなるかわからない。経済も政治も不安定になってしまった当時、長期的に見て安全な資産といえる金を持っておく…といった判断が働いたのは間違いありません。

少なくとも従来のグラム5000円前後から、コンスタントに相場を持ち上げたのは、間違いなくコロナショックと関係しているといえます。

ウクライナ危機・・・

2022年、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が勃発しました。コロナショックの時もそうでしたが、世界的な有事があると株や通貨の信用が揺らぎ、資産として安定感のある金は高騰する傾向があります。

実際ロシア侵攻後、株式、債券の相場は悪化し金が高騰しました。過去を振り返ってみても、2003年のイラク戦争や2007年のサブプライムローン危機の時は金相場が急騰しています。

ウクライナ危機も間違いなく金相場急騰の一因と言えるでしょう。

円安の影響・・・

日本では2022年ごろから円安が進み、2023年8月現在は1ドル145円となっています。金の価格は世界共通で決まりますが、その基準になるのは米ドルです。日本で金の売買をするときは、米ドルから日本円に換金し取引されますので、円安が進むと換金した時の金額も増えるわけです。

そのため円安ドル高の時は売り時、逆に円高ドル安の時は買い時であると言われています。

このように円安が進んでいることも、金相場急騰の一因であるといえます。

過去の金相場下落から学ぶ、2023年の金相場下落のリスク

ここまで「金相場が上昇してきた要因」を考えてみました。
それを裏返すと「2023の今後、こういう理由で金相場が下がってしまうのではないか?」ということも見えてきます。
(他の要因も絡むのであくまで仮説レベルで読んでいただければ幸いです)

下落要因1…コロナショックやウクライナ危機の終息

誤解しないようにお伝えしておくと、これはもちろん社会的に「良いこと」です。

しかし金相場だけの切り口で考えれば「不安→上昇、安心→下落」といった動きをするのが金相場の性格なので、長期的に見てコロナショックやウクライナ危機の影響が無くなっていくのであれば金相場も落ち着いていく可能性が高いと言えます。

ウクライナ危機に関しては戦争が長期化しており、終息がいつになるか予想することは難しいですが、世界情勢が安定してくると「有事の金」から資金が離れて相場が下落していく可能性がある、ということは意識した方が良いかもしれまん。

下落要因2…円高ドル安になった時

先ほどの円安ドル高とは逆の状況になります。日本で金の売買をするときは、米ドルから日本円に換金し取引されますので、円高が進むと相場は下がります。

しかし今後急激な円高になる可能性は低く、横ばいか徐々に上昇するのではないかと言われています。なかなか先のことを正確に予測することは難しいですが、日ごろから動向をチェックしておくのは重要になってきそうです。

ここでは2021年、短期的な金相場の下落を招くタイミングや理由について、逆説的に考えて3つの見方をご紹介しました。
しかし他にも為替相場や世界の株価動向、また経済戦争や政情の安定など、いろいろな要因が作用して金相場は動いています。
もちろんこの見方が当たるという裏付けはないですし、あくまでも「こういう考え方もある」とタイミングを見る参考として考えていただければ幸いです。

金製品は売り時か?

現在金製品(ジュエリーや延べ棒など)を所持している人として最終的に一番気にするのは、「いつがベストの売り時なのか?」ということかもしれません。

これについてはもちろん難しい問題で、数学の方程式のように自信をもって結果を予想できるものではないです。

しかしここまで書いてきた「短期的になぜ、金相場が高騰しているのか?」という3つの要因を考えると、しばらくはこの金相場で前後しながらも、少しずつ上昇を続けていくのではないか、と考えています。(一個人の意見ですが(笑))

しかし今後ウクライナ危機の終息や円高などが要因で、金相場が下落する可能性はそれなりにはある…と考えることもできると思います。

こうした予想は人それぞれですし、さらにそれを踏まえた「いつ売るか」という判断も人それぞれなのですが、今年のタイミングで金製品を売る…というのも有力な選択肢なのかもしれませんね。

今回は今年(2023年)の金相場を動かしているものは何なのかということを(挙げればきりのないものの中から)3つ挙げ、それをもとに下落リスクについても考えてみました。考え方は人それぞれですが仮説を立てて保有か、売却かを冷静に判断していきたいですね。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

安井 理のアバター 安井 理 リユースライター

慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。

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