金のインゴットとは、溶かした金を型に流して固めたもので、資産として保有するために製造されています。
この記事では、金のインゴットの基礎知識や、購入方法をメインに、売却方法や高く売却するタイミングなども解説します。
金のインゴットとは?地金との違い
インゴットとは、溶かした金属を型に流して固めたものです。金や銀だけでなく、銅、鉛、亜鉛、アルミニウムなども塊になることでインゴットといわれます。
インゴットは資産として保有することを目的として製造され、資産価値を持っています。一方、よく目にする「地金」も金属の塊を指すので似ていますが、アクセサリーなどの素材を指すものです。
金のインゴットの基礎知識
金のインゴットの価値を証明するためには、細かい規格などがあります。インゴットに関する基礎知識を身につけておきましょう。
金のインゴットの規格
インゴットはK24の純金のみであることが規定されています。ちなみに、アクセサリーなどの加工品はK22やK18などが主流です。
金のインゴットは投資にも使用されるため、正しい価値を証明できるよう厳格に規定されているのです。とはいえ、純度を100%とすることは難しいため、可能な限りで純度を高めて作られます。
他にも細かい規格があり、条件を満たさなければ市場取引ができない仕組みになっていて、粗悪品の流通を防ぐようにしています。
金のインゴットの重量サイズは大まかに4種類
インゴットのサイズ(重量)はさまざまで、一般的には4種類に分かれています。12.5kgの「ラージバー」、1kgの「キロバー」、500gの「グラムバー」、500g未満の「スモールバー」があり、スモールバーは1g、5g、10g、20g、50g、100gを指します。
取り扱う会社によりサイズ展開が違います。それぞれのサイズは以下の通りです。
三菱マテリアル | 徳力本店 | 田中貴金属工業 | |
---|---|---|---|
12.5kg | – | – | – |
1kg | 118.5×54×8.4mm | 117×53×9mm | 113×52×10mm |
500g | 87.8×39.4×7.8mm | 86×39×8.3mm | 87×44×9mm |
300g | – | 65×33×7.8mm | 77×33×7mm |
200g | – | 53×29×7.3mm | 48×28×8mm |
100g | 44.5×25.5×4.8mm | 44×24×5mm | 40×24×6mm |
50g | – | 44×25.5×2.6mm | 40×25×3.5mm |
30g | – | 39×23×1.9mm | – |
20g | 30×18×2.3mm | 33×22×1.6mm | 33×20×2.1mm |
10g | 25.5×15.5×1.8mm | 25.5×15.5×1.6mm | 27×17×1.6mm |
5g | 23.5×14×1.2mm | 23×14×1mm | 20×12.5×1.5mm |
1g | – | 製造ごとに異なる | – |
一般的に取引されているのは1kgのもので、5gなどの軽量のものはペンダントなどの用途で用いられています。12.5kgは日本ではあまり見かけることはありませんが、ロンドン金市場で取引されています。
金のインゴットの刻印の見方
金のインゴットには保証書がありません。そのため、品質を保証する刻印があるのです。ブランドによって刻印は異なりますが、そのインゴットの情報が示されています。刻印の見方を紹介します。
商標
商標は、そのインゴットがどこのブランドのものかが一目でわかるようにつけられたマークです。またLBMA(ロンドン貴金属市場協会)によるグッド・デリバリー・バーとしての認定を受けることで、公認マークを刻むことが許されます。
高い基準をクリアしたもののみ認められるので、認定されると世界的な価値と品質が保証されていることが読み取れます。
品位表示
品位表示とは金の純度を示す数値のことをいいます。インゴットは金の純度は最重要な情報ともいえるため、目立つように刻印されています。
例えば「999.9」の刻印は、純度99.99%以上のインゴットである証明です。4つの「9」が並ぶことから、「フォーナイン」とも呼ばれ、最高級の純度を誇ることを示しています。
重量
先述した通り、さまざまな重さのインゴットが存在します。「500g」と刻印されていれば、500gのインゴットであることを示します。
もし、量ってみて1g以上の誤差があった場合は、偽物の可能性もあるかもしれません。
地金番号
インゴットにはひとつひとつ地金番号と呼ばれる、製造番号(シリアルナンバー)が刻印されています。
それぞれが固有の番号を持っているので、同じものがあったり、存在していない番号だったりした場合には偽物の可能性が高いです。
金のインゴットを購入する方法
金のインゴットの購入方法は大きく分けて2つあります。手元に置いておきたい場合には直接購入、手元には置かずに自動的に業者に預ける純金積立という手段をとります。それぞれの購入方法を見ていきましょう。
直接購入する
貴金属店、地金商、商社、精錬会社、銀行などの店舗で購入することをいいます。また、店舗に行かなくても、インターネットでも購入が可能です。
金のインゴットは偽物が多く流通しています。そのため、先述したLBMA公認であることなど信頼できる業者から購入してくださいね。
購入したインゴットは自宅の金庫で保管したり、保管業者を利用したりする場合が多いです。
純金積立を利用する
純金積立は、地金商、銀行、証券会社から定期的に金を購入し、自動的に業者に預ける仕組みです。手元に置くことがないので、盗難などの被害に遭う心配がありません。
保管方法は、特定保管と消費寄託という2種類があり、両方の特徴を理解して選びましょう。
特定保管
購入したインゴットを業者に保管してもらうのが特定保管です。もし保管している業者が倒産してしまっても、すべてのインゴットが返却されます。
預けた分はすべて返却してもらえる安全性の高い保管方法です。ただし、預けていても利息などが発生することはありません。
消費寄託
購入したインゴットを業者に保管してもらう点は特定保管と同じです。ただ、金の所有権が保管業者に移るため、万が一保管業者が倒産した場合には、金のインゴットが返却されない可能性があります。その代わりに、保管業者がインゴットを運用し、運用益を受け取れる仕組みがあります。
安全にインゴットを保管したい人は特定保管、リスクを理解した上で運用益を得たい人は消費寄託がおすすめです。
金のインゴットを売却する方法
金のインゴットを売却する場合には、購入したメーカーや証券会社、銀行などで売却ができます。
また、買取業者でも金のインゴットの取引をしています。ジュエルカフェの買取相場や買取実績を見ていきましょう。
金のインゴットを売却するときの注意点
金のインゴットを売却する際には、いくつか注意しなければならない点があります。慌てることのないように、売却前にチェックしておきましょう。
200万円以上の取引には本人確認書類が必須
金のインゴットを売却する場合には、金額がいくらであっても身分証明書が必要です。そして、売却金額が200万円を超える場合には、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要になります。これは、買取業者が税務署に「支払調書」を提出する義務があるためです。
確実にその場で買取を済ませたいと考えている場合には、忘れないようにしましょう。
売却時に50万以上の利益がある場合は税金が発生する
インゴットは売却の際に、50万円以上の利益が出ると譲渡所得といい税金がかかります。ただし、50万円までは控除されます。
思っていた以上に税金がかかってしまった、というようなことがないようにチェックしておきましょう。
➀200万円で購入したインゴットを300万円で売却
300万円(売却額)ー200万円(購入金額)-50万円(控除額)=50万円(譲渡所得)
この場合には税金を払う必要がありません。
②200万円で購入したインゴットを400万円で売却
400万円(売却額)ー200万円(購入金額)-50万円(控除額)=150万円(譲渡所得)
この場合には税金を払う必要があります。
また、インゴットを取得してから5年以上経過している場合には譲渡所得が半額になります。
そして、購入金額がわからない場合は、売却時の5%とみなされ、税金を多く払うことになるため注意が必要です。
海外製のインゴットは取引を断られる場合も
非課税の国で購入した金を密輸して、日本で売却して利益を得ることを防ぐために、海外製のインゴットを取引しない業者も多くあります。
多くは組織で行われていますが、近年ではインターネットなどを通じ、一般の人を気軽に加担させるようなことも増えているため、取引の制限をしている場合があります。
金のインゴッドを売却する3つのタイミング
金の価格は日々変動しているため、インゴットの売却を検討している場合はタイミングをチェックして買取に出しましょう。
1.インフレのタイミング
インフレの時には、金を購入したい人が増加するため、金のインゴットの売り時です。
インフレとは、物の値段が上がりお金の価値が下がってしまうことです。お金の価値が下がるほど、金の価値は上がっていきます。
2.円安・ドル高のタイミング
金は米ドルで取引されますが、日本で取引する時には日本円で換算するため、円安・ドル高のときに金の価格が上昇します。そのため、円安・ドル高が高く売れるタイミングです。
逆に、円がドルよりも高い時には、金を安く購入できるため買い時ですよ。
3.世界情勢が不安定なタイミング
世界情勢が不安的な時には金が高騰します。投資家たちが株などのリスクがあるものより、金のように現物資産として安定したものに投資をしたがるためです。
世の中が先行き不安なタイミングは、金のインゴットの売却に適しています。
金のインゴットを売却するときはタイミングを見計らって
金のインゴットはそのものに価値があるため、持っているだけで資産になります。ただし、世界情勢やインフラなどの経済状況によって価格が上がったり下がったりします。
保有している金のインゴットを売却しようと考えている場合には、高くなるタイミングを見極められるのが理想です。金のインゴットの価値を最大限に活かせると良いですね。
金のインゴットの売却を検討している場合にはお気軽にジュエルカフェにお問い合わせください。