ジュエルカフェではジュエリークリーニングのサービスをしている関係上、「貴金属・ジュエリーが変色してしまった!」というご相談が、よく寄せられます。
価値のあるジュエリー(貴金属製品)に高いお金を払って買ったのに、ある日見たら黒ずんで変色していた・・・ということがあれば、当然誰でもショックですよね・・・。
金やプラチナなどの金属は価値も高いし、性質としても安定しているはず。
変質・変色しにくいはずなのに、なぜ????・・・と納得できない気持ちの方も多く、とてもよくわかります。
実は一口にジュエリーの変色と言っても、意外な理由で発生するものが多く、その予防・対処方法についてはかなりわかりやすい面が多いです。
今回は、金やプラチナを使った貴金属製品が変色してしまう理由と、その場合の対処法についてお伝えして行きます!
金属製品が変色してしまう3つの理由とは
指輪やブレスレットなど直接身に付けることの多いジュエリー製品は、貴金属の中でも変色してしまうことの多いジャンルと言えます。
黒ズミなどの変色をしてしまう理由としては大きく3つあり、
1. 酸化
2. 汚れ
3. 細かい傷
に分類されます。
それぞれについて原因を見て行きましょう。
よくある黒ズミの多くは「酸化」が原因です
酸化というのは一口で言うと、金属が酸素と結びついて錆びてしまうような状態のことです。
金やプラチナなどの金属はもちろん錆びることはありませんが、特にジュエリー製品の場合、「純度100%」でそれらが使われていることは少ないです。
※金であれば24金(K24)より、ジュエリーなら18金(K18)が一般的です。
例えば18金(K18)であれば金の純度は75%程度で、残りの25%はパラジウムや銀、場合によっては銅など別の金属が使われます。
その「混ぜ物(割金)」部分が酸化を起こし、黒ズミなどの変色となって表われているわけです。
細かい汚れの付着も変色の原因になります
上記の酸化は一種の化学変化で引き起こされるのですが、それ以外に意外と多いのが外部からの汚れによるものです。
こちらは専用のクロスや洗剤など、きちんとしたグッズで対処すれば簡単に取り除くことができます。
ある意味3つの原因の中で、一番対処が簡単なものといえるでしょう。
ただジュエリーの場合、金やプラチナだけでなくデリケートな宝石も載っているケースも多いので、使用できない 洗剤などもあったりします。
細かい傷がつくと、白っぽく変色して見える場合も
純金など、混ぜ物のないジュエリーに意外と多いのがこのパターンです。
金(ゴールド)は非常に柔らかく、特に混ぜ物のない24金であればちょっとした理由で細かい傷が表面に残ってしまうことがあります。
これが重なって表面で乱反射のようなことが起こり、金色がなんとなく白っぽく見えてしまう…といったケースもあります。
これは変色というより一種の摩耗?によるものと言えるでしょう。
多くの汚れの原因は「割金」にあり
純度の低い金属製品ほど変色しやすい理由とは
ジュエリーの変色について現場でもよくご相談をいただくのですが、やはり24金より18金・18金より14金というように、「貴金属の純度が比較的低いものほど」変色トラブルも起きやすいようです。
これは先ほどお伝えしたように、金の混ぜ物として使われている他の金属が酸化していることが多いからと言えます。
「純度が低めの貴金属製品」のメリットとしては、色合いの調整がしやすいことにあります。
例えばハワイアンジュエリーなどに代表される14金(K14,18K)は金純度が約58.5%と、4割以上が「他の金属」でできています。
そしてピンクゴールドやイエローゴールド・ホワイトゴールドなど、豊富な色合いのものが用意できるので人気です。
しかしそれは逆に言うと、「割金(わりきん)」と言われる混ぜ物の部分が多いが故です。
そしてその混ぜ物こそが、酸化による変色トラブルの原因となっているわけです。
例えばピンクゴールドであれば、混ぜている割金のうち7割前後に「銅」が使われており、それが独特の美しさを出している反面、酸化による変色(黒ズミなど)も発生しやすいと言えます。
ピンクゴールド以外にも混ぜ物としては銅・銀・パラジウム・ニッケル・イリジウムなど、様々な金属が金プラチナ製品の混ぜ物(割金)として使われており、その部分が化学反応を起こしてしまうわけです。
水・脂・酸素の3つは大敵
それでは割金(混ぜもの)が酸化や変色を引き起こしてしまう直接の理由として、どんな環境にあることがまずいのでしょうか。
これも簡単に言うと大きく3つで、
1.水や湿気にさらされること
2.人体から出る汗などの油脂分にさらされること
3.直接的には酸素と結びつくこと
が挙げられます。
水・湿気についてはちょっとした外出時に付いてしまうこともありますし、油脂分(汗など)については人間の体に直接触れる関係上、避けることはできません。
また変色の多くは酸素と結びつくことによる化学反応なので、「ここに置いておけば安全」・・・というような場所は 中々無いことになります。
いずれにしてもジュエリーが変色してしまうのは、日常生活ではある意味自然なことです。
何も意識せず手入れや予防をしないままでは、いつか起きてしまう可能性があります。
細やかな予防対策をするのが一番です
特に純度の低いジュエリー(18金未満の純度)については変色する可能性が高まるのですが、それでもちょっとした対策やお手入れで大幅にその確率を下げられるのは事実です。
具体的には外出後・使用後にクロスで乾拭きして水分・油脂分を表面から取り除いたり、その後密閉性の高い場所(理想的なのは お買い上げ時について来た小箱などです)に保存するのが理想でしょう。
日頃からちょっとした意識・行動をすることで変色トラブルのかなりの部分が防げると言えます。
14金のジュエリーについては地金の色合いが気に入った・・・という理由で購入される方も多いです。
日頃の数分程度のお手入れで数年後の見た目色合いが大きく変わってくる・・・と思えば、やはりしっかりお手入れはしたいですね!
万一変色してしまった場合の対処法とは
まず専用クロスでの乾拭きをお勧めします
もし久々に使用しようとして、取り出したジュエリーがすでに変色してしまっている!!!・・・という場合はどうしたらいいのでしょうか。
洗剤などを使ったクリーニングもありますが、真っ先にお勧めしたいのは専用クロス(布)で乾拭きすることです。
上記で、変色の原因については3つ(酸化・汚れ・キズ)があるとお伝えしましたが、汚れが原因である場合はこれですぐに解決します。
ジュエリー用のクリーニングクロスについては、1枚あたりの価格にすると安いものなら数十円から数百円で販売されており、通販でも簡単に手に入ります。
細かくゴールド用・プラチナ用など素材ごとに対応したクロスもあり、最適なものを選ぶと良いと思います。
一つ注意したいこととしては、微粒子レベルでの研磨剤が入っているものと入っていないものがあり、入っている物については光沢を出したりごく小さな傷を消すためよく使われます。
しかし研磨剤はわずかながら表面を研磨し、細かい乱反射を発生させるケースがあるため、研磨剤が入っていないものを好む人もいます。
中性洗剤溶液の漬け置きも改善の可能性あり
物理的にクロスで拭いても黒ズミなどの汚れが取れない場合、科学的な方法で黒ズミをとることになります。
よくある方法としては、中性洗剤の溶液を作りそこに漬け込む・・・というものですね。
中性洗剤は食器洗いなどでよく使用されるので見かけますが、必ず中性であることを確認したいところです。
一般的に1Lのぬるま湯に対して微量(数ml)の中性洗剤を溶かした溶液を作り、20分から30分程度浸します。
その後すすいで乾拭きをする・・・という手順になります。
この方法は特に黒ズミなどの変色に対して効果的だと言われていますが、実は使用すると危険なジュエリーもあります。
金属部分は良いのですが、指輪などについている宝石は中性洗剤に向かないものがあるからです。
一般にダイヤモンドやルビー・サファイヤなどは中性洗剤で大丈夫なのですが、使えないものの代表としてエメラルド や真珠があります。
他にトルコ石やサンゴ・琥珀など生物ベースの石の多くは、中性洗剤が使えないので注意したいですね!
いずれにしてもこの方法は、洗剤の成分や石との相性などを正確に理解した上で行わないとリスクもあります。
自前クリーニングの場合しっかり調べて確認の上、自己責任で行うことをお勧めします。
中性以外の溶液が効果的な場合
また一部の変色には、酸性やアルカリ性の溶液が効果的な場合もあります。
例えばめったにないことなのですが、酸化によるサビが出てしまった場合は弱い酸性であるレモン汁などにつけると綺麗になる・・・と昔から言われていますね。
また中性洗剤で効果のない黒ズミは、重曹を溶かしたお湯につけると綺麗になるケースもあるようです。
いずれの場合も10分程度漬け込んだ後に水洗い(すすぎ)をし、乾いた布で拭き取る…という手順は変わりません。
専門業者にクリーニングを依頼するのが安心
ここで挙げてきた専用クロスでの乾拭きや、中性洗剤などでの漬け置き洗いなどで解決しない場合は、やはりジュエリー専門店などでのクリーニング依頼をお勧めします。
専門店では超音波洗浄機などを使用し、安全にジュエリーをクリーニングするための設備が整っています。
ほとんどの場合変色や黒ズミなどの悩みは即時解消できるはずです。
ジュエルカフェでもお客様へのサービスの一環として、お持ちいただいたジュエリーについては無料でクリーニングサービスを提供しています。
クロスでの乾拭きはともかく、特に洗剤を使う場合は洗剤の性質・ジュエリーや汚れとの相性など、正しく理解し考慮して行う必要があります。
ご自分で判断する場合リスクがないとは言えないので、そうした面が不安な場合も「専門店」でのジュエリークリーニングを受けるのがおすすめです!
いかがでしたか?
金やプラチナなどの金属製品のほとんどは購入時に最低でも数万円はしたものなので、変色や黒ズミはかなりのショックです。
しかしあらためて考えてみると、お手入れにかかる時間やコストはそれと比べるとかなり軽いと言えます。
特に日頃の保管やお手入れなどの予防メンテナンスはとてもコスパが良いと言えるので、お時間のある際の習慣にしてみてはいかがでしょうか。