金の売却額が200万円以下の場合、税金はどうなる?確定申告の計算方法と注意点

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金売却200万円以下の税金について

200万円の境界線とは?支払調書制度を解説

「200万円」という金額は、支払調書制度の適用の有無を決める重要な基準です。

これは年間を通じた同一人からの買取総額が200万円を超えた場合、買取業者が税務署に「支払調書」を提出しなければならないという制度です。


支払調書には、売却者の氏名・住所・売却額などが記載され、税務署はこれをもとに所得の把握や申告内容との照合を行います。

提出のタイミングは翌年の1月中で、前年中の取引が対象になります。

つまり、「金売却 200万円以下」であれば支払調書の提出対象外となり、税務署が自動的に情報を取得することは少なくなりますが、それでも自己申告が必要な場合があるため注意が必要です。

金売却による所得は「譲渡所得」として課税される

金を売って利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象になるのが原則です。

譲渡所得とは、資産を売却して得た利益から必要経費などを差し引いた額に対して課税される所得区分です。

たとえば、購入時より高く売れて利益が出た場合、その利益額が一定以上になると確定申告の義務が生じます。

他の所得、たとえば給与所得や事業所得とは違い、譲渡所得には50万円の特別控除が用意されています。


この控除があるため、「金売却 200万円以下」で利益が小さければ課税されないケースもあります。

ただし、利益計算に必要な購入価格や経費の証明書類がないと、全額が所得とみなされることもあるので注意しましょう。

確定申告が不要になる条件はある?50万円の壁

金を売却した際の所得が50万円以下であれば、譲渡所得の特例によって確定申告が不要になる可能性があります。

この特例は、1年間の合計譲渡所得が50万円以下であることが条件です。

たとえば金を購入してから価格が上がったタイミングで売却したとしても、その利益が50万円以内に収まれば課税されないことがあります。

ただしこれは「所得」に対する基準であり、「売却額」ではない点に注意が必要です。

給与所得者の場合、他に申告すべき所得がなければこの特例が適用されやすい一方、事業所得者の場合は経費処理や他の申告内容との整合性が求められるため、より慎重な判断が必要です。

金の売却が「非課税」になるケースとは

すべての金の売却が課税対象になるわけではありません。
金製品の種類や用途によっては「非課税」となるケースも存在します。

たとえば日常生活用動産に該当する場合、その売却益は非課税扱いとなります。

たとえば一般的な装飾品として購入されたネックレスや指輪が、長年の使用の末に売却された場合には、生活に通常必要な動産として非課税となる可能性があります。

また、骨董品や美術品に該当する金製品については、取得時の価格や文化的価値の判断も含めて評価されます。

ただし、「投資目的」で購入したインゴットや純金積立などは生活用動産とはみなされず、課税対象となる点に注意しましょう。

金売却時の所得税と住民税の計算方法

所有期間5年以内の短期譲渡所得の税率と計算例

金を購入してから売却するまでの所有期間が5年以内の場合、「短期譲渡所得」として区分され、より高い税率が適用されます。

短期譲渡所得の税率は、所得税と住民税を合わせて30%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税約0.315%)程度となります。

たとえば、金を100万円で購入し、180万円で売却したとします。利益は80万円です。

ここから特別控除の50万円を差し引くと、課税対象は30万円となります。
この場合の税額はおおよそ9万円(30万円×30%)になります。

「200万円以下」であっても、利益が50万円を超えた場合には課税が発生する点に注意しましょう。

また、複数回に分けた売却でも合算して判断されるので、年間の利益の総額で考える必要があります。

所有期間5年超の長期譲渡所得の税率と計算例

金の所有期間が5年を超えると、「長期譲渡所得」として分類され、税率が軽減されます。
具体的には、所得税15%と住民税5%に加え、復興特別所得税を含めた合計で約20.315%の税率が適用されます。

たとえば、金を90万円で購入し、170万円で売却したとします。
利益は80万円で、ここから特別控除の50万円を差し引いた30万円が課税対象となります。

この場合の税額は約6万円(30万円×20%)程度です。

短期譲渡所得に比べて税額が低くなるため、金の売却タイミングは所有期間も考慮して計画することが節税につながります。

なお、所有期間は「取得した日から売却した日まで」で判断されます。

金売却時に経費として認められる項目リスト

金を売却して得た利益を正確に計算するためには、取得費や譲渡費用といった「必要経費」をしっかり把握しておくことが重要です。

取得費には、購入時の金額のほか、送料や手数料も含めることができます。

譲渡費用としては、売却時にかかる手数料、鑑定料、輸送費などが経費として認められます。

これらの費用を差し引いた金額が、譲渡所得として計算される利益になります。

一方で、日常の交通費や飲食費、通信費などは原則として経費として認められません。

証拠書類をきちんと保管しておくことが、経費計上の前提条件となるため、領収書や明細は捨てずに保管しておきましょう。

複数回に分けて売却した場合の合算計算方法

同じ年の中で金を何度かに分けて売却した場合、それぞれの売却益を合算して1年間の譲渡所得として計算する必要があります。
これは課税対象かどうかを判定するうえで非常に重要です。

たとえば1月に50万円、6月に70万円、11月に60万円の利益を得たとします。
合計は180万円であり、取得費と経費が引かれた後の利益が50万円を超えれば確定申告が必要です。

また、1回の売却が200万円以下であっても、年間を通じて支払調書の提出対象(200万円超)となる場合もあるため注意が必要です。

複数回の売却がある場合は、スプレッドシートなどで収支を管理しておくと申告がスムーズになります。

税務署はどのように金売却を把握するのか?

売却額200万円超の場合:支払調書が提出される流れ

金を売却した金額が年間で200万円を超えると、買取業者は税務署に対して「支払調書」を提出する義務が発生します。

これは所得税法の規定に基づき、売却者の情報や売却金額、支払日などを税務署へ通知する制度です。

支払調書は毎年1月末までに、前年1年間に行われた取引をまとめて提出されます。

税務署はこの情報をもとに、確定申告の内容との整合性を確認し、申告漏れや過少申告がないかをチェックします。

このように、200万円を超える売却は税務署に把握されやすく、申告義務がある場合に無申告だとリスクが高くなるのです。

税務署の調査対象になりやすい取引パターン

税務署が重点的に調査するのは、不自然な金額の入金や、繰り返し行われる売却など、通常の生活レベルを超える取引パターンです。

たとえば、給与所得者が頻繁に金を売却し、合計金額が数百万円に達している場合、調査対象になることがあります。

また、過去に申告漏れがあった人や、不動産・株式など他の資産取引との関連が疑われるケースも重点的にチェックされます。

税務署は金融機関の情報や支払調書などからデータを横断的に分析しているため、少額でも継続的な売却は注視される傾向があります。

過去の申告漏れが発覚するリスク

過去に行った金の売却で確定申告をしていなかった場合でも、税務署は後からその取引を把握する可能性があります。

たとえば、支払調書の提出やマイナンバーによる取引履歴の蓄積、銀行口座の入出金記録などを通じて、過去の取引が浮かび上がることがあります。

税務調査は原則として過去5年間さかのぼることが可能で、悪質と判断された場合は7年まで遡及されることもあります。

「今さらバレないだろう」と軽く考えるのではなく、過去の取引でも申告漏れがある場合は自発的に修正申告を行うことが重要です。

無申告・虚偽申告のペナルティと追徴課税

金の売却による利益を確定申告せずに放置したり、実際よりも少ない金額で申告した場合には、税務署から厳しいペナルティが課せられる可能性があります。

ペナルティの種類適用条件加算率・内容
無申告加算税申告期限までに申告しなかった場合原則15%(50万円超部分は20%)
過少申告加算税実際よりも少ない金額で申告した場合原則10%(50万円超部分は15%)
延滞税納期限までに納税しなかった場合年率最大14.6%(期間により異なる)
重加算税意図的な虚偽申告や隠蔽があった場合原則35%(悪質な場合は最大40%)
刑事罰重大な脱税行為と認定された場合10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金

売却益が少額だったとしても、無申告はリスクが高いため、正しい申告を行うことが最も安全です。

金売却時の確定申告に必要な書類と手続き

確定申告書の正しい記入方法と記載例

金を売却した場合の申告には、確定申告書の「分離課税用第三表」や「第二表」の譲渡所得欄に必要事項を正確に記入する必要があります。

記載項目は主に以下の通りです。

・売却価格
・取得費
・譲渡費用
・特別控除額
・課税対象となる所得額

これらを正確に入力しなければ、本来より高い税額を支払うことになるおそれがあります。

特に「取得費」が不明な場合には、利益全額が課税対象とみなされるため、記録の保存が重要です。

また、支払明細や売買契約書に記された金額と異なる記入をすると、税務署から問い合わせを受ける場合があります。
不安があれば税理士や税務署に相談することが確実です。

必ず保管しておくべき証明書類と保管期間

譲渡所得を正確に申告するためには、根拠となる証明書類の保管が欠かせません。

保管すべき書類は以下のようなものがあります。

・金の購入時の領収書やレシート
・売却時の支払明細書や買取明細
・鑑定書
・輸送費や手数料の領収書

これらは通常、確定申告を行った年の翌年1月1日から起算して5年間の保管義務がありますが、税務調査の可能性を考えると7年程度保管しておくと安心です。

なお、書類を紛失した場合は、取引先からの再発行やカード明細などで裏付けが取れるデータを用意しましょう。

こうした準備が整っていれば、万が一の税務調査にもスムーズに対応できます。

確定申告の期限と延長申請について知っておきたいこと

確定申告の提出期限は原則として翌年の2月16日から3月15日までで、この期間内に申告と納税を終える必要があります。

万が一期限内に申告できない事情がある場合は、所轄の税務署へ延長申請を提出することが可能です。

延長が認められる主なケースは、病気や災害などやむを得ない事情・法定代理人や税理士の業務遅延などです。

申告期限を過ぎた場合でも、自主的に早めに申告すれば加算税が軽減される場合があります。

無申告のまま放置するのが最もリスクが高いため、スケジュール管理を徹底することが大切です。

まとめ

金の売却額が200万円以下であっても、税金や申告義務がまったく発生しないとは限りません。税務上の判断には、売却価格だけでなく「譲渡所得」や「保有期間」、「取得費・経費の有無」といった複数の要素が関わります。

特に、以下のような点を事前に把握しておくことで、安心して金の売却や確定申告が行えます。

・年間の売却額が200万円を超えると買取業者が税務署に報告(支払調書)

・利益が50万円を超えた場合、確定申告が必要になる

取得費や経費の証明書類を保管しておくことが重要

・税金の負担は保有期間により異なる(短期より長期の方が税率が低い

制度を正しく理解し、自身の取引状況に応じて対応することで、後のトラブルや追徴課税を未然に防ぐことができます。

よくある質問

金を売却し、200万円以下なら税金はかからない?

売却額が200万円以下であっても、税金がかからないとは限りません。ポイントは「売却額」ではなく「利益(譲渡所得)」です。

たとえば、50万円で購入した金を180万円で売却した場合、利益は130万円となり、このうち50万円を超える分(80万円)が課税対象となります。

つまり、金売却 200万円以下であっても、利益次第では確定申告と納税が必要になります。

税金がかからないケースは、利益が50万円以下に収まるか、非課税扱いの動産として認められる場合です。

金を売却する際に税金がかからない売り方はある?

金の売却で税金がかからないためには、次のような条件を満たすことが必要です。

・1年間の譲渡所得(利益)が50万円以下である
・売却した金製品が生活用動産に該当し、非課税扱いとなる
・譲渡所得が他の課税所得と損益通算される場合

ただし、税務署の判断は一律ではないため、取引記録や証明書類をしっかり整えておくことが大切です。

また、同じ年に複数回売却した場合は合算して判断されるため、分割しても非課税にはならない点にも注意しましょう。

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この記事を書いた人

安井 理のアバター 安井 理 リユースライター

慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。

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