「有事の金」の意味とは何?
「有事の金」とは、戦争や経済危機、感染症の拡大など、社会や国際情勢が不安定になったときに価値が高まる金の性質を表す言葉です。
株式や為替などの金融市場が大きく乱れる場面では、リスクを避けたい投資家たちが、比較的価値の安定している金に資産を移す傾向があります。
このような「有事」と呼ばれる状況下で金の価格が上昇しやすいため、「有事の金」と呼ばれるようになりました。
「有事の金」と呼ばれている2つの理由

不安定な情勢で価格が上昇しやすい
「有事の金」と呼ばれる一番の理由は、戦争や金融危機などの不安定な情勢下で金の価格が上昇しやすいことにあります。
たとえばリーマンショックやコロナ禍など、株価や通貨が大きく下落する局面では、投資家たちはリスクを避けて金に資産を移す傾向があります。
このように、不安が高まるほど金の需要が集中し、価格が上昇しやすくなる特性が「有事の金」と呼ばれる由来となっています。
また、地政学的リスクや経済危機が続くことで、安全資産としての信頼性も高まり、金の存在感はさらに大きくなります。
国境や通貨に依存しない価値を持つ
金は世界中どこでも価値が認められており、通貨のように国ごとの信用力に左右されることがありません。
これは有事の際に特に強いメリットとなります。
たとえば、ある国の通貨が暴落しても、金そのものの価値は変わらず、別の国でも資産として通用します。
この「普遍的な価値」があることから、国際的な不安が高まったときに金へ資産を移す動きが生まれ、「有事の金」という評価につながっているのです。
また、紙幣と異なり発行母体が存在しないため、信用リスクもなく、物理的に保有することができる点でも信頼性があります。
金を資産として購入する3つのメリット

価値がゼロにならない安心感がある
金は長い歴史の中で常に価値を持ち続けてきた資産であり、株式や仮想通貨などとは異なり、企業の倒産やシステムトラブルで無価値になることがありません。
たとえ経済危機が起こったとしても、金は世界中で通用する「現物資産」としての価値を保ち続けるため、資産の一部として保有することに安心感があります。
この「ゼロにならない」特性は、長期保有を前提とした分散投資において大きなメリットと言えるでしょう。
インフレに強い資産である
金は物価が上がると価値が上がりやすいという特性を持っています。
これはインフレが進むことで現金の価値が目減りする一方で、金の価値が相対的に上昇するためです。
つまり、インフレ時において「実質的な資産価値を守る」手段として、金は非常に有効なのです。
特に、物価上昇が止まらない状況や貨幣価値が不安定なときには、金を保有することで資産の価値を維持できるという安心感が得られます。
世界中で流通しているため換金しやすい
金は世界共通で価値が認められており、国や地域を問わず流通しているため、換金性が非常に高い資産です。
金地金や金貨などは、国内外問わず多くの業者で買い取りが可能で、相場価格に基づいて取引が行われるため、公平性も保たれています。
急に現金が必要になったときでも、比較的スムーズに売却できるのが金の強みです。
金を資産として購入する2つのデメリット

価格変動リスクがある
金は安全資産とされている一方で、常に価格が安定しているわけではありません。
世界経済の状況や為替の変動、中央銀行の動向などによって、金価格は日々変動しています。
購入したときより価格が下がってしまえば、当然ながら資産としての価値も減ってしまうリスクがあるのです。
また、短期間での利益を狙うには向いていない面もあるため、長期的な視点で運用することが求められます。
安全資産だからといって、リスクがゼロではないことを理解しておくことが大切です。
保管にコストや手間がかかる
金は実物資産であるため、自宅や貸金庫などで物理的に保管する必要があります。
特に高額な金地金などを保有する場合、盗難や紛失のリスクを考慮し、セキュリティを強化することが求められます。
また、手元で管理することに不安を感じる方は、信頼できる保管サービスや貴金属専門業者の利用も選択肢になりますが、それもコストが発生することを覚えておく必要があります。
金を資産運用する方法は?

金地金(インゴット)を購入して保有する
もっともシンプルな方法は、金地金(インゴット)を購入して実物資産として保有することです。
現物として保有することで、金融システムに依存しない安心感が得られる一方で、盗難リスクや保管コストも考慮する必要があります。
長期的に資産を守る目的で購入される方が多く、特に地政学リスクや経済不安が高まっている時期に人気が高まる傾向があります。
1g単位の小さなサイズから1kgを超える大型までさまざまな種類があり、自分の予算や目的に応じて選べます。
参考リンク:【インゴットの買い方】金の購入ガイド!価格と場所の選び方を解説!
金貨やジュエリーとして所有する
金貨や金製のジュエリーも、資産として保有する手段の一つです。
特に金貨は投資用に製造されているものが多く、純度や重量が明記されているため、価値が明確で売買しやすい特徴があります。
一方でジュエリーは装飾品としての価値も加味され、買取時の評価が下がるケースもあるため注意が必要です。
見た目の美しさと資産性を兼ね備えている点は大きな魅力ですが、価格の一部にデザイン料が含まれることも理解しておきましょう。
参考リンク:金貨投資の仕組みと特徴
金ETFや投資信託で運用する
金ETF(上場投資信託)は、証券口座を通じて金に連動した価格で売買できる金融商品です。
現物の金を持たなくても、価格の上昇による利益を得ることができ、保管の手間もかかりません。
少額からでも投資できることや、流動性の高さが魅力で、投資初心者にも人気のある方法です。
ただし、ETFには信託報酬などの運用コストがかかる場合があり、長期保有ではその影響も考慮する必要があります。
積立型の純金積立を活用する
毎月一定額を積み立てて金を少しずつ購入していく「純金積立」も、初心者におすすめの投資方法です。
長期間にわたってコツコツと金を貯めていくスタイルは、生活の中で無理なく資産を持ちたい人にぴったりです。
ただし、手数料やスプレッドの確認は必須ですので、契約前にサービス内容をしっかりチェックしましょう。
今後「有事の金」が崩壊する可能性のあるケースとは

経済不安が解消され、他の資産に資金が流れる場合
金は「有事の金」と呼ばれるように、不安定な状況でこそその価値が見直されますが、
逆に世界経済が安定し、リスク資産への信頼が戻れば、金の需要は一気に減少する可能性があります。
たとえば株式市場の回復や金利の正常化が進むことで、投資家がより高い利回りを求めて他の資産に資金を移動すれば、金価格は下落に転じることもあります。
こうした「金離れ」が進めば、「有事の金」という立ち位置が相対的に薄れる恐れがあるのです。
一方で、そのような安定時でも金を一定量保有しておくことはリスクヘッジとしての意味を持ちます。
参考リンク:金相場と株価の関係とは?逆相関の理由とその裏側を徹底解説!
デジタル資産や新しい価値基準の登場
近年注目されている暗号資産(仮想通貨)や中央銀行デジタル通貨(CBDC)の台頭によって、「価値を保存する手段」としての金の役割が今後縮小する可能性があります。
とくに若年層を中心にデジタル資産への関心が高まり、金よりも手軽で自由度の高い投資対象として選ばれるケースも増えています。
テクノロジーの進化とともに、金のような現物資産が時代遅れと捉えられるリスクも無視できません。
まとめ
「有事の金」とは、戦争や経済不安といった不確実な時代において、資産を守る手段として多くの人に選ばれてきた存在です。
価格がゼロにならないという安心感やインフレに強い特性から、長期保有にも向いており、投資初心者から経験者まで幅広く支持されています。
ただし、価格変動や保管コストといったリスクも存在するため、自分に合った運用方法を理解しておくことが重要です。
今後の経済や価値観の変化によって「有事の金」としての役割が変わる可能性もあるため、柔軟に情報を取り入れながら資産管理に役立てましょう。
有事の金に関するよくある質問
Q.「有事の金」はいつ買えばいいの?
「有事の金」は情勢が不安定になったときに価格が上がる傾向があるため、できれば平時のうちに少しずつ分散して買っておくのがおすすめです。
すでに有事が起こっている最中に購入すると、割高になるリスクがあるため、落ち着いたタイミングでの積立などが有効です。
Q.「有事の金」となるのは金だけですか?
「有事の金」という言葉は金に特化した表現ですが、広い意味では金以外の実物資産(プラチナ・銀・不動産など)も注目されることがあります。
ただし、金は古来から価値が認められ、世界中で流通しているという点で、最も代表的な「安全資産」としての地位を保っています。
Q.「有事の金」は崩壊することがありますか?
完全に「崩壊」するとは考えにくいですが、金に対する需要が減ることはあります。
たとえば世界経済が安定し、リスクを取る投資が優先される局面では、金から資金が流出して価格が下がることがあります。
また、デジタル資産などの新たな価値が台頭すれば、金の役割が変わっていく可能性もあります。