金相場と株価の関係とは?逆相関の理由とその裏側を徹底解説!

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金相場と株価の逆相関関係

「金相場と株価」は、しばしば逆の動きをする関係として知られています。

これは投資の世界で「逆相関」と呼ばれ、株価が下がると金価格が上がる、あるいはその逆が起こる傾向を指します。

こうした逆相関の動きは、世界情勢や金融政策、投資家心理の変化に大きく左右されます。

金と株価が反対の動きをするのは、投資家の心理と行動が市場に大きく影響を与えるからなのです。

なぜ金と株価は逆の動きをするのか?

金と株価が逆の動きをするのは、それぞれが経済状況に対して異なる反応を示すためです。

たとえば、経済が悪化した際、企業の利益が下がると株価は下落します。

一方、そうした不安定な状況下では「価値が変わらない」と信じられている金に資金が集まり、金相場が上昇します。

2008年のリーマンショックのように、株価が暴落した場面では、多くの投資家が金へと資金を逃がしました。

また、株式市場のボラティリティ(価格の変動性)が高まると、投資家はリスク回避のために金を選ぶ傾向があります。

株価と金相場の動きの違いは、経済の変化に対する投資家の「資産の避難先」としての選択の現れなのです。

「安全資産」と「リスク資産」の特徴

金は「安全資産」として位置づけられています。

価値が世界的に認められており、どの国でも流通しやすく、通貨のように発行元の信用に左右されない点が評価されています。

一方で、株式は「リスク資産」とされ、企業の業績や経済環境に強く影響されます。

たとえば好景気のときには株価が上がりやすいですが、不況や企業の倒産リスクがあると大きく下落する可能性があります。

つまり、経済が好調なときは株式、混乱時には金というように、使い分けられているのです。

金と株式は、それぞれのリスク特性に応じて役割が異なる資産なのです。

資産種別特徴リスク主な利用目的
金(インゴット・地金など)世界共通の価値を持つ・現物資産価格変動はあるが信用リスクは低いインフレ対策・リスク回避・長期保有
株式企業の成長に期待して利益を得る資産業績や市場環境により大きく変動配当収入・値上がり益・短中期運用

経済危機時に顕著になる逆相関の動き

経済危機が起こると、「金相場と株価」の逆相関は特に顕著に現れます。

2008年のリーマンショックでは、NYダウ平均株価が半年で40%以上下落する一方、金価格は安定しながら上昇基調を保ちました。

また、2020年のコロナショックでも同様に、株価が急落する中で金の価格は一時的に下がった後、歴史的高値を更新しました。

これらの期間中、金と株価の相関係数は大きくマイナスに転じ、資産分散の重要性が再認識されました。

危機時の金は、株式に代わる「逃避先」として、世界中の投資家に選ばれる存在となるのです。

投資家心理から見る資金移動のメカニズム

株価が下がり始めると、多くの投資家は将来の不安を感じ、リスクを抑えた資産へ資金を移そうとします。

これが「リスクオフ」と呼ばれる動きで、その移動先として選ばれるのが金です。

機関投資家は大量の資金を動かすため、市場全体の流れに大きな影響を与えます。

一方、個人投資家はニュースやSNSを通じた感情的な反応が行動に直結しやすい傾向にあります。

いずれにせよ、市場全体が「安全」を求める空気になれば、金価格は自然と上がっていくのです。
市場不安が高まるとき、投資家は「安全な場所」へと一斉に資金を移動させます。

金相場と株価が同時上昇する特殊事例

通常は逆相関の関係にある「金相場と株価」ですが、まれに両者が同時に上昇するケースがあります。
これは投資家心理や経済政策、インフレ期待などが複雑に絡み合った結果として起こります。

たとえば、世界経済が好調な中で物価上昇が進んだ場合、企業の利益見通しが良くなることで株価が上がる一方、インフレヘッジとしての金需要も高まり、金価格も上昇するのです。

このような場面では、伝統的な逆相関理論だけでは説明がつかない現象が起こります。

「金と株価が同時に上がる」という特殊な現象は、市場の複雑な力学と投資家心理の重なり合いによって生まれるのです。

以下に、代表的な要因をまとめました。

・中央銀行の金融緩和政策により、市場全体の流動性が過剰になっている

インフレ期待が高まり、金への需要と企業利益が同時に上昇している

・地政学リスクや政治不安がある中でも、経済指標が堅調で株価が上がっている

低金利環境が続くことで、金と株の両方に資金が流れやすくなっている

2017年に見られた同時上昇の背景

2017年には、「金相場と株価」がそろって上昇する珍しい現象が観察されました。

主な要因のひとつは、米国をはじめとする中央銀行による緩やかな金融引き締めと、それに伴う市場の安定感です。

当時はトランプ政権による減税政策やインフラ投資期待により株式市場が堅調でしたが、同時に北朝鮮のミサイル発射や地政学的な懸念が高まり、安全資産としての金の需要も増加しました。

加えて、世界的な低金利と量的緩和の継続が市場に資金を潤沢に供給していました。

2017年は、好調な株式市場と安全資産への需要が同時に高まった、非常に稀なケースだったといえます。

世界経済の好調とインフレ期待の影響

2017年当時は、世界経済が全体的に好調で、アメリカ・ヨーロッパ・中国といった主要国のGDP成長率がいずれもプラスを記録していました。

経済の成長に伴い、インフレの進行が予想され、それが金の需要増加につながったのです。

一方で企業の業績も順調で、株価も堅調に推移しました。

インフレ期待によって実質金利が低下すると、金利を生まない金でも相対的に魅力が増します。

つまり、経済の成長と物価の上昇という2つの要素が、金と株の両方を押し上げたのです。

インフレ期待が強まると、金も株も「買われる資産」として注目されるのです。

地政学的リスクと株式市場の強気相場


2017年には、北朝鮮の核開発やミサイル実験といった地政学的リスクが高まっていました。

通常であればこうした不安要因は株式市場にとってマイナスに働きますが、
同年はトランプ政権の積極的な財政政策や企業減税への期待がそれを上回る材料となりました。

さらに、S&P500などの主要株価指数は過去最高値を更新し続け、投資家の強気姿勢が維持されていました。

このように、リスクと好材料が同時に存在する中で、株式市場は強気を保ちつつ、金市場も堅調に推移したのです。

地政学リスクがあっても、期待感がそれを上回れば、株式市場と金市場は共に上昇することがあるのです。

近年の市場環境変化と相関関係の変動

2020年以降、「金相場と株価」の相関関係はこれまでとは異なる動きを見せています。

コロナショックをきっかけ、世界各国が前例のない金融緩和政策を行い、市場全体の動きが一時的に歪みました。
その結果、従来の逆相関関係が崩れたり、一時的に同時下落・同時上昇するケースも見られました。

投資家の行動や資金の流れにも変化が起きており、新しい相関パターンへの理解が求められています。

市場構造の変化によって、金と株の関係は常に一定ではないことを認識しておくことが重要です。

量的緩和政策がもたらした市場の歪み

2020年のコロナショック以降、FRB(米連邦準備制度)をはじめとする各国中央銀行は、市場の安定を目的に大規模な量的緩和政策を実施しました。

これは国債や社債を大量に買い入れることで、世の中に出回るお金の量を増やす政策です。

この過剰流動性により、株価が実体経済よりも先行して回復し、同時に金相場も「通貨価値の低下」への不安から上昇しました。

こうして本来なら逆の動きをするはずの金と株が、ともに上がるという歪んだ市場が形成されたのです。
量的緩和は、金と株式の伝統的な関係性を一時的に変えてしまう強力な政策だったのです。

コロナショック以降の新たな相関パターン

コロナショック以降、「金相場と株価」の関係性には複雑な変化が見られました。

2020年3月には株価も金も同時に急落し、その後に両者が急激に回復するという珍しい動きが確認されました。

この背景には、世界的な金融緩和とともに、インフレへの警戒感が広がったことがあります。

さらに2022年以降は金利の引き上げが進み、金の価格が調整される一方、株式市場もインフレと金利のはざまで揺れる展開が続きました。

現在は、インフレ懸念と景気後退リスクが交錯する中で、金と株の相関関係は流動的です。

コロナ後の世界では、金と株の動きがより複雑かつ短期的に変化しやすくなっているのです。

金と株式の最適な投資配分

「金相場と株価」の関係を踏まえると、どちらか一方に偏った投資はリスクが大きくなります。

そこで重要になるのが、金と株式を組み合わせたバランスの良いポートフォリオ設計です。
異なる特性を持つ資産を組み合わせることで、市場の変動に強い運用が可能になります。

特にインフレや景気後退といった経済環境に応じて、柔軟に配分を調整することが成果を左右します。

金と株の適切な配分は、資産を守りながら増やすための鍵となるのです

リスク許容度別のポートフォリオ設計

投資スタイルは、人それぞれのリスク許容度によって大きく異なります。

リスクをあまり取りたくない人には、金の比率を高めた配分がおすすめです。

リスク許容度金の比率株式の比率特徴
保守型(ローリスク)40%60%安定性を重視。変動を避けたい人向け
中間型(ミドルリスク)25%75%バランス重視。中長期運用に適する
積極型(ハイリスク)10%90%リターン重視。長期運用で高成長を狙う

また、若年層は長期投資ができるため株式の比率を高めに、リタイア世代は安定性を重視して金を多めに持つ傾向があります。

年齢やリスク許容度に応じて金と株の比率を調整することが、長期的な資産形成の成功につながります。

市場環境に応じた配分比率の調整方法

市場環境に応じて投資配分を見直すことは、ポートフォリオを守るうえで欠かせません。

たとえば、インフレ率が上昇し始めたときには金を増やすのが効果的です。
逆にデフレの兆しが見えるときは、株式比率を上げて値上がり益を狙う判断もできます。

さらに、景気後退や戦争などのリスク要因が強まったときには、安全資産である金を多めに持つことが有効です。

判断の際は、消費者物価指数(CPI)やGDP成長率、金利動向などの経済指標を参考にしましょう。

経済の流れを見ながら柔軟に配分を変えることで、リスクを抑えながら資産を増やすことができるのです。

市場環境金の比率株式の比率
インフレ期30%70%
デフレ期15%85%
景気後退期40%60%
好景気期10%90%

まとめ

「金相場と株価」は、基本的には逆相関の関係にあることが多いですが、市場環境や政策、投資家心理の変化によって例外的な動きを見せることもあります。

特に経済危機や金融緩和が行われる局面では、金と株が同時に上昇するケースも観察されました。

最近では、インフレ懸念や金利動向が相関関係に与える影響も無視できなくなっています。

投資家にとっては、こうした関係性を理解し、資産配分を柔軟に見直すことが、安定した資産形成への第一歩となるでしょう。

金と株式の関係を正しく理解すれば、市場の変動に左右されにくい賢い投資判断ができるようになります。

よくある質問

金の価格が上がると株は下がる?

必ずしもそうとは限りませんが、一般的に「金相場と株価」は逆の動きをする傾向があります。

株価が下がると投資家が安全資産である金に資金を移すため、金の価格が上がることがあります。
ただし、市場に過剰な流動性がある場合やインフレ期待が強まる局面では、金と株の両方が上昇することもあります。

したがって、常に逆相関が成り立つとは限らず、市場環境によって関係性は変化します。
金と株が逆に動く傾向はありますが、状況によっては同時に上昇・下落することもあります。

金の値動きと株価の関係性とは?

金の値動きと株価の関係性は、投資家の心理と経済の状況に大きく左右されます。

株価が好調なときはリスク資産である株に資金が集まり、金はあまり買われません。

一方、経済が不安定になったり、株価が下落し始めると、安全資産である金に資金が流れるため、金価格が上昇する傾向があります。

ただし、金利やインフレ、地政学リスクなど多くの要因が同時に絡むため、一概に言い切ることはできません。
金と株価は相互に影響を与え合いながら、時に連動し、時に逆の動きを見せる複雑な関係にあります。

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この記事を書いた人

安井 理のアバター 安井 理 リユースライター

慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。

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