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2021年の金相場はどうなる? 下落のリスクと相場変動の要因とは?

2021年の金相場はどうなる? 下落のリスクと相場変動の要因とは?

21世紀に入るとともに、リサイクルの新業態すら生み出してしまったのが「金」製品の高騰です。
ご存じの方も多いですが2001年には金相場はグラム当たり1000円をちょっと超える程度…という驚きの価格でした。(このころ買っておいた方がよかったという人もいるかもしれません(笑))
それがこの20年で、上昇と下落を繰り返しながらもその単価は7倍を超え、2021年6月現在では一時、店頭小売価格が7400円を超える事態となりました。

その一方で金製品とは別の話ですが、仮想通貨(ビットコインなど)の相場も上下動がかなり熱いですよね。
春先にはかなりの上昇をしたのですがその後いろいろな要因から、最高値の半値ちょっとまで落ちている(6月現在)というのも目の当たりにしています。

「相場というものはわからない・・・金相場も注意が必要だ。いつ落ちるかわからない」という思いを新たにされた方も多いはずです。
お手持ちの金製品についても「そろそろ売りかな・・・?」と考えている方もいれば「もう売ってしまった。待てばよかったかな・・・?」とお考えの方も多いと思います。

混迷を極める2021年の相場ですが、果たしてどうなるのでしょうか。下落のリスクや今後の売り時などを考えてみました。

2021年(6月)現在の金相場はどうなっているのか

2021年(6月)現在、金相場は「円建て」では史上最高値を更新しています。
(田中貴金属工業の店頭販売価格ベースで7444円)
実は金相場については2019年ごろまでは一時停滞していた面があり、2013年ごろから2019年ごろまでの間というのは1グラム当たり4000円~5000円の間を行ったり来たりしているという状況でした。

急激な変化が起きたのが2020年で、コロナショックの広がりと時を同じくして急騰した金相場は2020年8月に一時7000円越えとなり、その後少し落ち込んだものの6000円台で推移し、この2021年6月に再び7000円を超える事態もみられています。

最も分かりやすいグラフなどは田中貴金属工業などのサイトで参照すると視覚で分かるのですが、一言でいえば「去年以来急騰しているし、その中でも(6月は)短期的にも上昇の中にある」といえるわけです。
金製品を売るのであれば今がチャンス、ということも言えますし同時に「どこまで上がるのか? いつ下がるのか、下がるとすれば何が起きた時なのか?」ということを2021年の情勢を見て仮説を立てておいた方が良いと思います。

2021年現在、何が金相場を押し上げている?

ここで大切なのは、「何が金相場を押し上げているのか」ということをざっくりとらえておくことです。
中期的(ここ10年程度)の上昇要因については去年(2020年度版)でも触れましたが

〇スマホや精密機械など、工業製品に使われる需要が増えた。

〇為替相場・先物相場などのシステムが完成し、金の価値がそれにリンクして世界的に動くようになり投資の対象となった。
ということが手堅い上昇要因といえますし、これは中々崩れない安定要因だと思います。
(これについて細かいことはこの記事では割愛します)

今回は特にこれ以外の短期的なものについて「なぜ上がっているのか」という理由をいくつか、整理しておくといいと思います。(逆に言うとこれが失われたときに急落のリスクがあると言えます)
それについていうと「コロナ禍」「仮装通貨」「オリンピック」の3つが去年以来の金相場に大きく絡んでいる3大要因ではないでしょうか。

コロナ禍・・・

昨年以来の金相場急騰のタイミングはコロナ禍の広がりと完全に時期がかぶっています。
やはり「有事の金」といわれるように社会不安が広がると金相場は上がる傾向がある…というのは本当のところでしょう。
ロックダウンなどで会社の株価もどうなるかわからない。経済も政治も不安定になってしまっている今、長期的に見て安全な資産といえる金を持っておく…といった判断が働いているのは間違いありません。
少なくとも従来のグラム5000円前後から、昨年以来コンスタントに6000円を切らないレベルまで相場を持ち上げているのは、間違いなくコロナショックと関係しているといえます。

仮装通貨(ビットコインなど)・・・

昨年12月のブルームバーグの記事に「金融市場での暗号資産(仮想通貨)の台頭は、金を犠牲にして起きているとJPモルガン・チェースは指摘している」という出だしのものが乗りました。
ビットコインなどの仮想通貨が注目されてきたのはここ2-3年のことですが、2020年以降やはりコロナ禍などから「通貨は信用できないし投資先としては金貨、それとも仮想通貨か?」というように「投機」と「資金の逃避先」として有力な候補となっています。
一言でいえば金と仮想通貨は資金の流出先として「ライバル関係」にあると言えるのかもしれません。
実際に短期的に見ると仮想通貨が上がれば金は低調(伸び悩み)なのですが、例えばこの春先から仮想通貨が暴落したタイミングで金が去年以来再びグラム7000円台に乗せてきたことを考えると、「両者は負の相関関係にある」ということは間違いないのかもしれません。

オリンピック・・・

これは過去の経験からなのですが、例えば2008年の北京オリンピックの時は金相場が急騰しました。
当時としては最高に近い3300円台/グラムをつけたのですが、その後9月以降はリーマンショックなどが重なったことがあり年末ごろまでに2500円前後まで落ちてしまいます。
※ちなみに金メダルはほとんど銀でできているので、金の需要がメダルで高まるわけではありません。
もちろん過去のオリンピックの例を見るとそうでない例もあり一概に「オリンピックだから金相場が上がる」とは言い切れません。(金相場には心理的な安心⇔不安の動きが反映されるからです)

ただ今回の2021年の相場については、6月に金相場が上昇していることと夏にオリンピックが開催されることが完全に無関係とは思えませんし、この動きをみると逆にオリンピック終了後や、「中止」となった際に逆に下落してしまう可能性も想像しておいた方が良いかもしれません。
オリンピックと金相場の関係は一概に表現できない「景気や需要が良くなるイメージ」と結びついた心理的なものもあるのですが、無関係とはいえないと思います。

過去の金相場下落から学ぶ、2021年の金相場下落のリスク

ここまで「金相場が上昇してきた要因」を考えてみました。
それを裏返すと「2021の今後、こういう理由で金相場が下がってしまうのではないか?」ということも見えてきます。
(他の要因も絡むのであくまで仮説レベルで読んでいただければ幸いです)

下落要因1…コロナ禍のスムーズな終結

誤解しないようにお伝えしておくと、これはもちろん社会的に「良いこと」です。
しかし金相場だけの切り口で考えれば「不安→上昇、安心→下落」といった動きをするのが金相場の性格なので、長期的に見てコロナの影響が無くなっていくのであれば金相場も落ち着いていく可能性が高いと言えます。
現在(2021年6月)、日本を含む世界ではワクチンの接種が進み、順調に行くのであれば半年~1年でコロナの感染力や影響は大きく抑制されていくという予想もされています。
そう考えると、ロックダウンの解除や経済活動の再開に伴って「有事の金」から資金が離れて相場が下落していくという可能性は意識した方が良いかもしれません。

下落要因2…仮想通貨市場が再び活性化し、資金がそちらに流れる

仮想通貨の中でもその代名詞といわれるビットコイン(BTC)の動向が流れを読むカギといわれています。
2021年春先には米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がビットコインを決済手段として認める可能性をツイートし、相場が急騰するといった場面もありました。
その後それが撤回されたり、中国当局による規制強化などのニュースで再び下落したビットコインですが、中期的に昨年以来上昇をくりかえしてきただけに今後再び大きく上昇する可能性も秘めています。
2021年5月~6月にかけて、ビットコインの下落と時を同じくして一時上昇した金相場なのですが、仮想通貨が再び上昇に転じれば金は再下落…といった流れも短期的には大いに可能性があります。

下落要因3…東京オリンピックの終了、または中止など

これは日本の国内要因ともいえるのですが、まず東京オリンピックが終結(無事終了)した後、過去の例を見ると金相場が短期的には下落するのではないか…?と予想している人たちもいます。
これについては円=ドルの為替相場が絡むので何とも断言はできないのですが、いわゆる「特需」といわれる状態が終了するともいえるのでそうした見方もできるのかもしれません。
さらに開催せず中止、ということになった場合大きな経済効果も失われることが確定しますから、そうしたことが影響するのではないかという考え方もあります。
オリンピックについては金相場にどちらの影響を与えるかは何とも言えないところがあり断言はできないのですが、少なくとも中止や終了などのタイミングで「どちらかに短期的に動く」という見方をする人も多く、タイミングを注視していた方が良いかもしれません。

ここでは2021年、短期的な金相場の下落を招くタイミングや理由について、逆説的に考えて3つの見方をご紹介しました。
しかし他にも為替相場や世界の株価動向、また経済戦争や政情の安定など、いろいろな要因が作用して金相場は動いています。
もちろんこの見方が当たるという裏付けはないですし、あくまでも「こういう考え方もある」とタイミングを見る参考として考えていただければ幸いです。

金製品は売り時か?

現在金製品(ジュエリーや延べ棒など)を所持している人として最終的に一番気にするのは、
「いつがベストの売り時なのか?」
ということかもしれません。

これについてはもちろん難しい問題で、数学の方程式のように自信をもって結果を予想できるものではないです。
しかしここまで書いてきた「短期的になぜ、金相場が高騰しているのか?」という3つの要因を考えると、2021年秋以降はオリンピックも終わり、またコロナについても徐々に収束していく予想をすることができ、また一時停滞したビットコインなどの仮想通貨についても長い目で見ればずっと上昇していますので、何らかの形で復活していく可能性があります。

あくまで1つの見方ではあるのですが、そう考えれば2021年の秋から暮れにかけて、金相場は下落する可能性がそれなりにはある…と考えることもできると思います。
こうした予想は人それぞれですしさらにそれを踏まえた「いつ売るか」という判断も人それぞれなのですが、今年のタイミングで金製品を売る…というのも有力な選択肢なのかもしれませんね。

今回は今年(2021年)の金相場を動かしているものは何なのかということを(挙げればきりのないものの中から)3つ挙げ、それをもとに下落リスクについても考えてみました。
考え方は人それぞれですが仮説を立てて保有か、売却かを冷静に判断していきたいですね。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

監修
監修:安井 理
慶應義塾大学 文学部 人間関係学科卒。1999年より神奈川を中心に学習塾・結婚相談所・リユース専門店などを経営。特にリユース専門店は県内30店舗まで展開した後、戦略的バイアウト。以降は越境ECや業界特化型のライター・コラムニスト・アドバイザーとして活躍。
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